自分を取り巻く環境と、自分自身の考えが、目まぐるしく形を変えはじめたこの頃。
私は変化を苦手とするので、イヤなことは一気にさっさと終わらせたい。いろんな変化を一度に迎えて、さっさと順応していきたい。
という偏った思考から、一度変化し始めると、自分でもついていけないくらいトップスピードで駆け抜ける。う〜む、気持ちいいくらいの0.100だねぇ。
あるいは、プレッシャーに弱いだけかもしれない。"私のターン"となる決断や責任をさっさと果たしたいだけ?
仕事でもなんでも、任されたら秒速で片付けるもんねえ... 強迫or不安症かな?
ま...それは置いておいて、
今こそ「自分」を大切にしてあげよう。
そう決めた6月は、「自分の好きな人と、好きな時に、好きな場所へ」赴く機会を積極的に作った。
中でも、一際、楽しみにしていたことがある。
変化に疲弊する私を癒す、中学から変わらない自分の"好き"にどっぷり浸かれる、そんな夢のようなイベントがあるのだ。
というわけで向かった先は、
大都会、渋谷の街。
もちろん、普段は都会の喧騒や煌びやかな遊びとは、縁もゆかりもない私。
そんな私がなぜ渋谷に、しかも若者集う宮下パークにいるのかというと、全てはこのイベントのためである。
そう、「昭和歌謡ナイト」が、渋谷に帰ってきたのだ。
私は新参者なので詳しくは語れないが、元々渋谷のリズムカフェという小さなバーで2011年から行っていたらしい本イベント。
コロナなどを経て、ついに3年ぶりに渋谷にカムバック!しかも会場もグレードアップ!
...ということで、私も二度目の参加を決めた。
はじめては、2年前の12月のこと。昭和歌謡好きの(珍しい)友人と、新宿での開催回に参加した。
今でもよく覚えている。衝撃だった。
「YOUは何しに日本へ?」で取り上げられた時から存在を知ってはいたが、想像以上に素敵なイベントで、もっと早く行けばよかったと後悔した。
都内での不定期開催となるとなかなか予定が合わず、その後チャンスがなかったが、渋谷なら仕事終わりでも間に合いそうだ!
DJイベントは、達郎さんの以来だな。
それも渋谷だったし、今回も仕事終わり。
3回目となると、もう準備には慣れっこ。小さいカバンで、踊れるスタイルで。
1人参加にも慣れっこ。
会場を探すのに少し手間取ったが、予定通り19時ちょっと過ぎには到着した。
わーお、なんて洒落たミュージックバーなんだ。普段なら絶対入れない。
イベント自体19時開始ということもあり、会場にはまだ、まばらな人影。
トップバッターのDJの方が、始まりにふさわしいメロウな曲をかけている。
(とりあえず、ドリンク買おう)
入場料の500円は支払い済みで、ワンドリンク制ではないが、マナーとしてレモンサワーを一杯頼む。
飲み過ぎると真っ赤になって踊れなくなるから、ほどほどにちびちび飲もう。
適当な席に腰掛け、会場の様子を伺う。
1人参加の方も多そうだが、大体が常連さんのようで、来る人来る人と親しげに挨拶を交わしている。
(やっぱりアウェイだったかなあ、前回は初めてでも友達がいたからなあ...)
少しの不安は残りつつも、ここまできたら踊りまくって楽しむしかない、なんなら同年代の音楽仲間をゲットするチャンスだ!!と意気込んでいると、
「Hi!」
あの日テレビの画面で見たままの、「DJ Dandy」さんがフランクに話しかけてくださったので、拙い英語で返す。
「ようこそ!はじめての参加かな?」
「いえ、2回目です。前回は新宿のに。あまりに楽しすぎて、また来ちゃいました。」
「そうか、今日は楽しんで行ってね!」
「はい、ありがとうございます!」
それがいいきっかけになったのか、前の席に座っていたおじさまも声をかけてくださった。
その方もどうやら常連さんだったようで、一言二言言葉を交わすうちにあっという間に打ち解けて、気づいたら一緒のテーブルで乾杯していた。(秒速)
「昭和歌謡」という共通言語を持った私は無敵で、年齢や国籍も関係ないって改めて感じる。
そこからは数珠繋ぎにおじさまがおじさまを、そしておにいさんを、お次はおねえさまを、またおじさまを...
というように、常連の方々を次々と紹介してくださり、1人参加にも関わらず、すぐにその場の雰囲気に溶け込むことができた。
ほらね。昭和歌謡好きな方に悪い人はいないのよ。どうやら楽しい夜になりそうな予感!!
段々と人も増えてきた。皆様とのおしゃべりも楽しいが、椅子に座った体が、踊りたくてソワソワしだす頃。
絶えず流れている曲はかなり古い曲ばかりで、おじさま方も知らないみたい。「もう少しでDJも変わって、踊れるナンバーが始まるよ」とのこと。
「じゃあ、その時は一緒に行きましょうね」
まだ数人ほどしかいないフロアの中心、DJブースの目の前を指差し、ニヤリと笑う私。
「ちなみに古い曲だとどんなのが好きなの?」「モンロー・ウォークとか、最近気に入ってます、」などと、他愛のない会話をしていると...
DJブラッシュさんのターンへ。
あっ、段々と知ってる曲がかかってきた!
ー いなせだね 夏をつれてきた女 ♪
「め組のひと」を皮切りに、フロアへと飛び出す私たち。他の人も集まってくる。
ー 涼しげな 目もと流し目 eye eye eye
粋なこと 起こりそうだぜ めッ! ♪
あのお馴染みの振り付けを、ピースサインを、みんなで揃えて「めッ!」と合唱する。
わ〜!!!これこれ!楽しい!!
改めて、昭和歌謡ナイトの始まりだ!
ここからはノンストップで、数ある昭和歌謡の中でも名曲と呼ばれる、踊れるヒット曲メドレーが続く。
ピンクレディー、チェッカーズ、聖子ちゃん、明菜ちゃん、ジュリー、光GENJI、マッチ...
どれも知っている曲ばかりで、曲が変わるたびにはしゃいで歌って踊っていた。
(全て生まれる前の曲だけど)
振り付けが分からなくてもご心配無用。
前回もそうだったが、目の前には最高のお手本であるなお姉様方がいてくれるのだ。
真似をしてもいいし、間違っていても楽しんで踊れば、いい!昭和歌謡は自由!
私が特に盛り上がったナンバーを覚え書き↓
◎フィンガー5「学園天国」「恋のダイヤル6700」など
フィンガー5は私の原点であり頂点。昭和カルチャーにハマるきっかけとなった彼らの曲を、昭和歌謡ナイトで噛み締める幸せ。
中学時代、1人でイヤホンで聴いていた曲を、この場にいる皆さんと歌って踊れる幸せ!
◎アン・ルイス「あゝ無情」
サビの「ふふ〜!」「ふわふわふわふわ」の合いの手が楽しすぎる(伝わる?)
普段自分で聞かないようなロックなナンバーも、この場だと異常なくらい盛り上がるね。
改めて聞くと、自己肯定感爆上がり曲だわ..
昔はちびまる子ちゃんのイメージだったけど。
リンダそっくりなお姉さんが美し&かっこよすぎて、必死に後をついていった。
スマホをマイクがわりに大熱唱した。気分はもう聖子ちゃん。この夏も繰り返し聞こう。
おじさまたちが親衛隊を思い起こさせるのもまた一興。
クライマックスは、ブラッシュさんが「城ちびる」に扮して「イルカにのった少年」を熱唱。
前回も思ったけど、本当に面白くて魅力的な方だなあ。
続いて元祖昭和歌謡ナイト、リズムカフェのオーナーであるDr.Kさんがゲスト出演。
この方のおかげで、私は今こんなにも楽しめてると言っても過言ではない。ありがたやありがたや。
大好きな「翼の折れたエンジェル」が流れて嬉しかったなあ...ハスキーボイスたまらん..
ここでようやく、1時間ほどノンストップで踊っていることに気づき、クールダウンがてら席に戻って水分補給。
アドレナリンが垂れ流し状態なので、仕事終わりだろうがヒールだろうが、疲れなど微塵も感じなかった。ずっと踊り続けたい。パリピの方々の気持ちに今なら共感できそう。
はしゃぎすぎた子どものように赤いほっぺたをグラスで冷やしていると、常連さんが集うボックス席にお誘いいただき、また新たな方々と交流することができた。
相変わらず年齢とのギャップに驚かれることも少なくないけど、
好きなものを「好き!」と堂々と言えて、その良さを分かち合える場にいることは、私にとって夢物語も同然なんだ。
夢から覚めないでほしい。
でも物語は最高潮のクライマックスを迎える。
ついに、大トリとなるDJ Dandyさんの登場。
前回、新宿では、まだ実家にいた時で今より終電が早いのもあって、満足に楽しめなかったDandyさんのDJ。
結論から言うと、最っっっ高にクールでドープで、素敵だった!!!!!!
知らない曲も多かったけど、すぐに聴き直してレコードを買いたくなるくらいに、チョイスが渋くて良かった...日本人より昭和歌謡の魅力を"分かっている" ような気さえする。
「真夜中のドア〜Stay With Me」のような海外の方に人気な曲から、「北酒場」のような演歌まで、ジャンル問わず幅広く、本当に昭和歌謡を愛してるのが伝わってくる。
以下、またまた記憶に残った覚え書き↓
ここでユーミンはずるいっ!!イントロで会場がどよめいたもんね...永遠の名曲。
◎西城秀樹「激しい恋」
初めて聞いたけど、印象的な振り付け含めて気に入った!ブラッシュさんのオンステージも合わせて最高。
◎江利チエミ「カモナ•マイハウス」
1952年!?当時15歳!?!?
色褪せない名曲に圧倒&感動。
◎サーカス「愛で殺したい」
みんなで手を振って、フロアが一つになって、最高の時間だった。
そうそう、「個人授業」もかけてくれた!フィンガー5が盛り上がる定番曲になっていて嬉しい限り。
この場にいる人をみんな、昭和歌謡の世界に誘って、熱狂的に酔わせているDandyさん、恐れ入るよ...すごい...
終電の時間を気にしながらも、仲良くなった皆さんと目を合わせながら踊って、笑い合いながら歌う、このスペシャルな時間を満喫する。
と、ここで、聴き慣れたイントロが!!
「モンロー・ウォーク」!!
思わずおじさまと爛々と目を合わせる。
私のテンションも最高潮で、オリジナルの振り付けで、モンローウォークで、ジャマイカあたりのステップで、腰をふりふり大胆に踊る。
恥とか、世間体とか、正解不正解もなしに、好きな曲でダンス!!!これ最高!!!
(ホントにそろそろ帰らなきゃ...うわーんやだヨ〜!!!!帰りたくない〜〜っ!!)
普段は自分に自信がなくて、人に気を遣って、知らぬ間に心をすり減らしている私が、
こんなにも自分らしくいれて、自分を解放して、楽しめている場から、心から離れたくなかった。
でも、今日で最後じゃない。何度だって、こういう機会に自分を連れて行ってあげたい。
どうやら「昭和歌謡ナイト」は、来月も待っていてくれる。
最初から最後までお世話になったおじさまと、仲良くなった方々に願いも込めて「"また"会いましょう」と声をかけて、ハイタッチをして、後ろ髪をひかれつつその場を後にする。
魔法が解ける前に帰るシンデレラ、もとい、終電前に帰る汗だくの私の背中で、昭和歌謡が少しずつ小さくなっていく。
宮下パークを後にして渋谷駅へと向かいながら、今更、学生時代の体育の後くらい汗をかいていることに気づく。
(そりゃそうだ、3時間くらい踊り続けてたんだもん!)
そのことがおかしくて、不快なはずの汗すらも心地よくて、不思議で夢うつつな気分だった。
こういう風に、自分の"好き"を思う存分摂取すると、俄然無敵になった気分になれるから、人間って不思議だな。
不確かな未来への勇気がむくむく湧いてくる。
上等じゃん、変化。
トップスピードで駆け抜けてみせるよ。
...ちがう、ゆっくりでいい。あくまでも自分らしさを忘れずに、マイペースに行こう。
そうだ。
モンローウォークで、踊りながら行こう。
ーーーーーーー
三連休が終わって朝が来たら、ひとつ歳をとった私は、どんな足取りで会社へと向かっているのだろう。
軽やかでありますように。少しの緊張さえ、心地いいものでありますように。
いい一年にきっと、どうか、なりますように。