なつにつ記

過去と今を自由に飛びまわる私記/エッセイ。 レトロでファニーでちょっぴり不器用なくらし。 食いしん坊。 短編小説だと思って、お暇な時にぜひに。

とんかつ、トンカツ、豚カツ

とんかつ、トンカツ、豚カツ!

先日から、私の頭の中では仕事中でもこの声が鳴り止まない。

この夏に取り決めた、「月3000円は外食費(人との交際以外の外食、つまり孤独のグルメ)にあてる」の記念すべき第2回目。
第1回目はインドカレー
さて、今月はどうしようかと悩んでいるようで、私の頭の中ですでに心は決まっていた。
そう、とんかつだ。

元々、家で作れないもの(インドカレーなどまさにそう)を外食するポリシー。
一人暮らししてから揚げ物を全くしていない私にとって、とんかつはかなり魅力的であった。

それも、半年以上とんかつ断ちしている私を、並大抵のとんかつでは満足させられない。

そこで選んだのが、馬車道のとんかつの名店、「丸和」さんだ。念入りな下調べによると、丸和はもちろん、勝烈庵本店、檍、さくらなど、馬車道はとんかつの名店揃いだった。 

様々な情報や口コミを鑑みて、今回は丸和さんに決定。
「開店前に行列!」「特ロースカツ、ロースカツは数量限定ですぐ売り切れる!」との事前学習を経て、40分前には店前に辿り着いた。

が、誰もいない。
(平日だし、流石に早すぎたかしら。)
店前は日差しだし、乙女がとんかつに1番手に並ぶ多少の気恥ずかしさがあるので、近くのお手洗いへ向かったのち、向かいの道の日陰で様子を見ることに。

と、すぐに同じく女性の1人客が並んだ。
慌てて日傘をさして後に続く。

(ま、まあ、それでも2人目だから、特ロースカツは頂けるはず...)

ジリジリ照らす日差しの中、日傘と帽子でなんとか耐えしのび、メニューを見てあれこれと思惑を巡らせる。

とんかつ1500円、ロースかつ2400円、特ロースかつ2900円....

特ロースにしたら、自動的にこれが今月の最初で最後の外食になるが、それでも構わない。
今日の私は本気と書いてマジなのだ。

とんかつ、トンカツ、豚カツ...
もうすぐ、お肉が、甘い脂身が口の中に....

開店時間が近づき、お店の方が事前に注文を取りに来る。
先頭の女性は「ご注文は?」の声に被せるくらいの勢いで「特ロースカツ」と答えた。

よーし、私も続くぞ。

「特ロースカツで!」
「ごめんなさい終了しました」

あっ

「そうなんですね、じゃあロースかつで。」

きびきびと次の注文をとりに行くおねえさま。
私の後ろのハイソなカップルも全く同じ攻撃を喰らっていた。

「終わりなんだねえ。」

こんなことなら、つまらない恥なんて捨ててさっさと並べばよかった。
うじうじ落ち込む私。
(ロースが頼めだだけ有難い)(お姉さんの特ロースカツをチラ見して食べた気になろう)
(特ロースは私には上質すぎて胃もたれしたかもだし..)
お得意の自分慰めタイムに励んでいると、遂に開店!

店内は、私好みのヴィンテージ感あるランプなどのインテリアと、木の温かみが良かった。
ほとんどが1人客だが、韓国語を話すお兄さん二人組もいた。

韓国のお酒のポスターも貼ってあった。
K-popアイドルが、来日時によくトンカツを食べるように、「Tonkatsu」はもはや世界中を虜にしているのだ。
きっとインバウンドの観光客の方も多く訪れる名店なんだろう。期待が高まる。

そして、ついに、待ちに待ったロースかつ定食が目の前に!

私はグルメライターではないので、とんかつの味をここで事細かには語れない。
でも、必ず特ロースカツをいつか食べてやるぞ、と決心するくらいの、確かな美味しさだった。

ほんのりピンクの豚肉は肉肉しく、衣は薄く主張せず、揚げ加減も絶妙。
塩もソースもレモンもカラシも、どの組み合わせでも一口一口、幸せでとろけた。

店員のお姉様方はとっても親切でキャベツやご飯のお代わりを気にかけてくれていた。

キャベツとご飯を少しおかわりして、満腹大満足。

ちなみに、チラ見の結果、特ロースカツは確かにロースカツよりも1.5倍は大きく、サシが多かった。私が席を立つ時まだお肉が半分残っているくらいのボリューミーさ。
いいな、いいなあ。

そういえば料理人の方が、「足りなかったら言ってね」とお姉さんに声をかけていた。まるでVIP。1日に1人だけ、特ロースかつを頼んだその人が、とんかつ王国の王様になれるのだ....
いいな、いいなあ。

ご馳走様でした。
ようし、次こそ。

気づけば、私の中のとんかつを求める声は鳴り止み、ツカツカの唇はにんまりと笑っていた。

追記:今回、私について新たに気づいたこと。
他人の目をどうしても気にするので、カウンターなど人との距離が近すぎると6%くらい食への集中力が削がれてしまう。

孤独のグルメ」(最近母娘共に再熱中)を極める道はまだまだ始まったばかりだ。改めて、五郎さんへのリスペクトがとまらない。