3度目の正直。本当のハロウィンのはじまり。
10月10日に従兄とその彼女さんと、28日にAちゃんと行ったハロウィンパーティー。
そのどちらも楽しくて、話が尽きない、素敵な時間だった。
今日は一転、一人で過ごすハロウィン。
といっても、こちとら無宗教。秋の収穫を祝うわけでも、先祖の霊を迎え悪霊に扮するわけでもない。かといって、わが国独自の文化に倣い、キメキメに仮装して街へ繰り出したくもない。人混みと喧騒が大の苦手なので。ひとりだし。
仮装してディズニーハロウィンを楽しんだという友人らの話を聞いて、「いいな、いいなあ」と相槌を打つだけ。(秘かな変身願望があるので、ハロウィンに限らず仮装やコスプレというものを、いつか本格的にしてみたい。)
せっかく休みの日だけど、ハロウィンとは無縁にいつも通り過ごそうかね。
と、考えていた私が、一人ハロウィンパーティーを開催するに至ったのには、二つのきっかけがある。
きっかけ①
ふと目にした、「横浜山手西洋館 ハロウィンウォーク2023」のお知らせ。
当日イベントは終了しているが、館内装飾は今日まで行っている。
大好きな山手や元町を、改めてゆっくり巡りたいと思っていた私にとって、ちょうどよい機会となった。
私はこの地域に強いあこがれを抱いており、家族や友人と訪れるたびに”ここで暮らす自分”というのを妄想するのが常であった。所詮夢物語だが、想像するだけでうっとり。
西洋館をめぐりながら、ハロウィン気分も楽しめる、素敵な散歩になりそうだ。
きっかけ②
ここ数日、なぜか甘いもの欲が著しく、中でもキャロットケーキが食べたくて仕方なかった。なので、[横浜 キャロットケーキ]で検索してみると、「ブラフベーカリー」がヒットした。
どうやら、横浜高島屋に出店するほど有名なパン屋さんらしい。
件のキャロットケーキをはじめ、ベーグル、シナモンロールやミルクフランスも人気らしく、「私がパン屋さんでロックオンするパンリスト」の上位と合致してしまった。
本店が元町にあることを知ったその瞬間、私のプランは決まったも同然。
こうして、いろいろなきっかけと思惑が重なり、この度「一人ハロウィンパーティー@元町山手」を開催する運びとなった。
美味しいパンやケーキを食べて、異国情緒あふれる街を歩き、西洋館にお邪魔する。
うーん、素敵。英国貴族みたいじゃないかしら。うひひ。
パーティではないだろ、なんて今更つっこまないでほしい。
要は、好きなものを好きなだけ食べたいときに、都合よく「パーティ」と名付けて罪悪感なく楽しめばいいのだ。パーティーの定義とずれていたって、構わない。
唐突に”土鍋ご飯パーティー”や”甘味パーティー”を一人で開催する私なので、手慣れたもんである。
ちなみに、パーティーの下準備として、パンの予約をしておいた。
人気のパン屋さんということもあり、目当てのパンが売り切れていたら嫌なので、パンの取り置きアプリ「sacri」を初めて試すことに。
じっくりメニューを見て悩めるのがいいね。美味しそうなパンに囲まれると、迷いに迷ってしてしまう私にはぴったりだ。(なぜか美味しいパン屋というのは狭い店が多いから、早く決めなきゃと焦ってしまう。)
1番のお目当て、キャロットケーキはホールしかメニューになかったので、お店でカットサイズが買えますように...!!!
受け取り時間は12時半なので、いつも通り図書館からの放送ライブラリーで時間をつぶす。
今日観た作品
◎「SBCスペシャル 福太郎の家」
信越放送 2008.05.29
これが本当に良かった...福太郎君の可愛さもさることながら、「地域で子どもを育てる」というある種の理想を見た気がした。
単にご夫婦が未熟なのだ、と言う捉え方もあるが、子育てで誰にも頼れず、SOSが出せずにいることの方が問題だと思いたい。
◎「家族記念日」
CBCテレビ 2009.03.30
浅野家のコスプレ家族写真、実写化して初めて存在を知った。(観てないけど)
羨ましい家族仲。たった一枚でも記憶に残る家族写真があったら、どんな別れ方をしようとも支えになると思うんだ。家族行事、我が家でも作りたい。
ああ、今日も最高の名作だった。
時刻はすっかりお昼時。お腹もぺこり。
放送ライブラリーから20分ほど歩き、ブラフベーカリーへと向かう。
坂の途中に、あったあった。
平日だからか、店内は予想に反し空いていて、パンも充実のラインナップだった。
かぼちゃメロンパンが、ハロウィン仕様で可愛い〜!
アプリの受け取り画面を提示し、スムーズに受け取る。無事、ショーケースのキャロットケーキもゲット。カットサイズによって違うお値段。
ここで少し余談...取り置きは便利だが、以下のデメリットも。
・焼きたてを逃す場合もある(目の前で焼きたての同じ商品が並べられていても、取り置かれ時間がたったものを受け取ることになった)
・実物を見ると心が揺らぐ(写真で見るより美味しそうなパンもあって、量的に断念せざるを得なかった)
絶対にゲットしたいパンだけ取り置いて、他は現地で選ぶのが妥当かもなあ...と思った。でも、一度はsacriを使って良かった。
パンを抱え、坂を登った丘の上で、良さげな公園やベンチを探す。
すると、まさに今日の目的である西洋館の一つ、エリスマン邸の前に木の椅子とテーブルが!ちょうどいいわ、ここにしましょうっと。
まるで、この洋館のお庭をお借りしたティーパティーみたいじゃない?
さあ、パンとケーキでハロウィンパーティの始まりよ。
まずはオニオンパルメザンベーグルをパクリ。
香ばしいオニオンの風味と、たっぷり混ぜ込まれたフェンネルシードが効いてる。
NYスタイルのベーグルって、軽めってことかな?おいしい!
お次はシナモンロール。んん、甘さ控えめ、シナモンたっぷりの生地に、甘めのクリームチーズが合う!こちらもふかふかした軽めの生地。
わあ、ミルクフランス、1番好きかも!歯切れが良くて塩気のあるバゲットにはさまれた、濃厚でとってもミルキーなクリーム...!!
ではでは、念願のキャロットケーキもいただきましょう。
(あっ、そういえばフォーク....)
おお、ずっしり重たあい。
ニンジンの甘みが黒糖のように効いている、クルミたっぷりのしっとりした生地。
クリームチーズのフロスティングは、ほぼチーズを飲んでいるような濃厚さ!
ああ、キャロットケーキ欲がたちまち満たされていく....
もし...そこの英国貴婦人気取りのお嬢さん...
フォークがなくて手づかみでケーキ食べているし...スカートにポロポロくずをこぼしているし...鼻の頭と口のまわりにいろいろついているし....
英国貴婦人が見て呆れますよ。
その上、甘いもの欲に駆られて甘いパン2つに大きめのケーキ(どれも濃厚クリーム系)を一気に摂取したもんだから、あらあら、お嬢さん胸焼けしちゃってるよ。
むしろ今度は「なっとうご飯とみそ汁欲」が湧き出しちゃってるよ。
結局は、ただの平民で平凡な日本人だと痛感。ごちそうさまでした。
さあ、ここからはパーティーの後半、「横浜西洋館巡り」のはじまり!ご丁寧に職場のプリンターでマップまで印刷してきて、気合いは十分。主に9軒の洋館でハロウィン装飾を楽しめるらしい。
まずは目の前のエリスマン邸から。
装飾テーマは、"Mystery Wedding〜届けられた謎の招待状〜"
中に入ってビックリ、こんなに本格的な装飾なの!?
それもそのはず、このイベントには空間装飾の専門家の方々が携わっているのだ。
例えばここエリスマン邸は、「ブルーラグナ・デコレーション」というデザイン事務所さんが手掛けている。元町山手のハロウィンは本気だ!
招待状まで...ロマンチックな演出!
参列するくまちゃん。抱いてるのは...ダッフィー?
赤と黒のコントラストがおしゃれ。一束ずつ違ったブーケも素敵。
館内には謎のピアニストの怪しげな音色が響き、一気にハロウィン気分が高まった。
興奮冷めやらぬまま、お隣のベーリック・ホールへ。
テーマは"収穫を祝う魔女の化身"
紫を基調とした美しい装飾。
食卓のネームプレートの名前が気になって職員の方に尋ねると、わざわざ調べてくださった。中世の魔女の名前だそう!芸が細かい。
普段写真を撮らない私も、思わず連写してしまうクオリティ。
西洋館だから、雰囲気や味が出るのもあるけれど、プロのお仕事ってすごいな....
次の目的地に向かう道すがら、カフェ「えの木てい」をチラリ。
店名通り、大きな榎が目印。
日本大通りのアルテリーベと同じくらい、憧れのお店なんだあ...いつか、ここでアフタヌーンティーとしゃれこむぞ。
そのすぐお隣に、あったあった。
山手234番館は、関東大震災直後に建設された外国人用のアパートメントハウス。
装飾テーマは、"Tea timeを楽しむハロウィン"
これまでと打って変わり、落ち着いた雰囲気。家庭的なハロウィンでいいね。
スイーツをフラワーデザインで表現しているのにきゅんとする。
光庭っていうのかな?ロマン感じるよねえ、妄想膨らむよねえ、私だけ?
淡くて素朴で、でも美しく可憐で、私好みのデザインだった!
引き続きてくてく歩く。お天気はハロウィンらしく怪しげな曇り模様。
あっ、山手資料館も今度行きたい。
港の見える丘公園の中にある、イギリス館に到着。
装飾テーマは、"そして誰もいなくなった"。
ゴースト達の晩餐会が開かれていたが、部屋に入ってきた人間に驚き、食事やチェスを放り投げて隠れてしまった、というかわいらしい設定。
私的お気に入りコーナー↓
クリスティ...あなたはいずこ? なんとなく「西の魔女が死んだ」を思い起こした私。
ドライフラワーやポプリが彩る、こちらも素敵な装飾だった。
公園内のガーデンをぐるりと眺める。まあとにかく、どこへ行ってもお花の綺麗なこと。お金をかけてきちんと整備されているのが分かる。
お花好きの母と、また一緒に来たい。
すぐそこの、山手111番館へ。
"実りの秋のハロウィンパーティ〜山手の豊かな収穫祭〜"のテーマ通り、彩り豊かな食卓がお出迎え。
「いい香り!このケーキ本物よね?」とどなたかがおっしゃっていたように、なんとも甘い香りが漂っていた。
まさにハーベストフェスティバル。見ていて飽きない華やかさ。
さ、次は山手公園ヘと向かうぞ。ちょっと距離があるな。
ハロウィンだからか、妙にカラスが多いなあ。
道すがら、山手に来るとついよってしまうChristmas Toysさんへ。古い洋館を改装した一年中クリスマスのお店なのだ。
たまたま「クリスマス・イブ」が流れていて、一気にハロウィンからクリスマス気分に。
無宗教な国ゆえの、「ハロウィン終わったら次クリスマス!はい正月!」みたいな風情も節操もない目まぐるしさが苦手なのだけど...ここは永遠にクリスマスだから、安心するし夢のよう。
そろそろ私も、お部屋用のリースとか、スノードームとか、ポストカードとかが欲しいけど、ひとまず何も買わず。ちびちび集めていこう。
一番右のスノーマン、ほしい。
クリスマスの時期ってどうしてこんなにノスタルジーな気分になるんだろ。幼いころの幸せな記憶とか、何の心配もなく親に愛されて守られていたことを思い出すからかな。
クリスマスまであと55日、今年はどんなクリスマスになるかな。1人のハロウィンがこんなに楽しいんだから、どんなクリスマスでもいいや。
マップを持っているのに道に迷ってしまい、坂を上ったり下ったり、行ったり来たり、だいぶ時間をかけて、やっとこさ横浜山手テニス発祥記念館へ。
テーマは"闇からの脱出" おお、急に毛色が変わってきたな。
きゃー、リアルかつおどろおどろしい!
テニスの歴史とか、常設展示も興味深い。ステンドグラス素敵!
テニスが趣味のAちゃんと一緒に来たいな。
丘の上でテニスなんて、高貴よねえ。
お次は旧山手68番館へ。
近隣の子どもたちが仮装姿で集っていてほほえましかった。
テーマ、"抑圧された仮面からの脱皮"
どうやら、先程のテニス発祥記念館とこちらの館は、スタッフさんのオリジナル装飾だそう。どうりで独創性があって面白い!
ぎゃー!!普通に怖いです!!!!!
抑圧された仮面!?何のメッセージ性!?
誰か~~~~!!!!女の子が暖炉に!!!!!
暖炉上の飾りとのギャップでちびりそう。
...はー、面白かった。悪霊もぶっ飛びそうな厄除けじゃないかしら。
あっという間に西洋館巡りもラストスパート。
外交官の家は外観が最高だわ~
なんと!「のだめカンタービレ」の千秋先輩の家のモデルだそう!
千秋しぇんぱい...ほんまもんのお坊ちゃまなんだな、としみじみ。
装飾テーマは"Halloween party with flower and family!!"
ふおおー、ムードがあって、しゅてきしゅてき
むきゃー
ほげー
はうん...
うきゅー
思わず"のだめ語"を連発してしまうほどの豪華絢爛さ。
外交官と同レベルの暮らしができる千秋先輩、改めてすごい。
名残惜しくもラスト、ブラフ18番館へ。
まあなんと色合いの可愛いことでしょう。
装飾テーマは、"錦秋の百鬼夜行"
ハロウィンに和テイスト?と思ったら、歌川国芳の”海坊主”が窓から顔を覗かせていた。
この家の内装ね、差し色が私の好きなミントグリーンで最高なのよ。
カッパも傘おばけもいるね。
このお部屋理想すぎる.....!!
ああ、どの装飾も最高だった。
西洋館巡り、そしてハロウィンパーティ、これにておしまい。本来の文化を味わえたようで、大満足の1日だった。
いやあ..元町山手を一言で表すと、やっぱり「憧れのエリア」になるな、うん。
公営住宅で生まれ育った私がこういう言葉を使いたくはないけど、やっぱり「土地柄」ってどうしても存在するわけで。
特に子どもにとっては、公立の学校へ行くならダイレクトにそれが反映されるわけで。
「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」を先月読んで、教育格差について考えさせられたから、尚更思う。
今日、この土地で暮らす方々とすれ違い、共通点とか、似たような雰囲気を感じ取りながらぼんやりとそんなことを考えていた。
自分がこの街に住んでたら、どんな感じ?
インターナショナルスクールか、カトリックの幼稚園に通って、
フェリス女学院のお嬢様になって、
同じような金銭感覚の人と結婚して、
高級車や、ブランド品を買って、
子どものお迎えにだって綺麗なワンピースをきてヒールを履いて、きちんとお化粧して、
大きな大きな犬か、小さな小さな犬を連れて、西洋館やローズガーデンを散歩して、
定年後は優雅にテニスでもするのかな。
そうね。
そんな自分もありかもね。
でも私は、今の自分が1番好きなんだ。
家族と生まれ育った地元と思い出を何より愛してる自分が。団地に住んで、焼き芋の軽トラを追いかけた小さな私を抱きしめたいくらい。
土地柄なんて覆すぐらい、誰にとっても人生は平等に一度きりで、チャンスに溢れてるよね。
とにかく、このエリアは何度訪れても惹かれる魅力があることは確かだ。住めなくても、こうしてお散歩に来るだけで満足!(西洋館ウェディングという手もあるしね!)
TrickでもTreat でもなく、Motomachi Yamate。
2023年の私のハロウィンには、3つ目が最もふさわしかったようだ。
住み慣れた庶民の街へ戻るお嬢様の鞄の中では、いつの間に買われた納豆パックが揺れていた。