なつにつ記

過去と今を自由に飛びまわる私記/エッセイ。 レトロでファニーでちょっぴり不器用なくらし。 食いしん坊。 短編小説だと思って、お暇な時にぜひに。

ふたりはブギウギ

中学1年生、12歳の時からの、十年来の友人がいる。    

幼馴染で、親友で、理解者。

何かの間違いで私の伝記が出版されたとしたら、彼女の名前は頻出するだろう。

 

彼女を仮にAちゃんと呼ぼう。

 

この土曜日は、Aちゃんと久しぶりに1日通して過ごすことができた。

中々お互いの都合が合わず、少しだけ会おう、夜ご飯だけご一緒しよう、なんて時が続いていたから。

 

社会人になるって、地元から出るって、こういうことだよな、としみじみ実感する。

いつでも会って話せる、そのかけがえのなさを知らなかった学生時代。

知らないからこそ、くだらない、何気ないおしゃべりを心ゆくまで楽しめた。

 

今は、タイムリミットがあるかのように、無意識に話題を厳選しようとする自分がいる。

次、いつ会えるか分からないから。

聞きたいこと、話したいこと、たくさんあるから。

 

それでも、会えばたちまち、なんら昔と変わらずくだらない話をしてしまう、そのことが可笑しくて愛おしい、

 

そんな2人の土曜日。

 

今回のプランは、Aちゃんの希望を参考に、私が考えさせてもらった。

初めは彼女の提案に驚いた。なんでも、いつも私が過ごしている休日を擬似体験したいという。

※お決まりの休日ルーティーン↓

natsunitsuki.hatenadiary.jp

「こんなんでいいの?」と聞くと、「それがいい」と答える彼女。

 

そんなわけで、この日の大まかな予定はこうだ。

1.ブギウギおしゃれタイム

2.ベトナムランチ

3.図書館・放送ライブラリー

4.ハロウィンパーティ

5.銭湯

 

張り切って色々詰め込んだら、朝9時半集合/夜21時半解散という怒涛のスケジュールとなった。「部活並みにみっちりだね」と笑って付き合ってくれるAちゃんは優しい。

 

1.ブギウギおしゃれタイム

朝ドラ「ブギウギ」にハマっているAちゃん。

(私はテレビがないので観れていない、「買い物ブギー」は歌うのに、ずっとかさ"おき"シヅ子さんだと思っていた。)

朝ドラお馴染み、視聴者の写真投稿を、私たちもやってみようということになった。

 

ということで、思い思いの昭和レトロな出立ちで集合し、夜のパーティー用の買い出しを済ませてから私の部屋へ。

おしゃべりを弾ませながらメイクやヘアセットをする、なんとも楽しい時間。

 

恐れ多いことに、Aちゃんは昔から、私のやる事なす事をほめてくれて、時には真似までしてくれる。

姉の真似をしては鬱陶しがられていた私にとって、この上ない喜びだった。

私の自己肯定感は、彼女が伸ばしてくれたようなものだ。

調子に乗って、Aちゃんにメイクや、ヘアセットをさせてもらった。

秋らしいオレンジのメイクと、茶色のワンピースに身を包んだ彼女は、一段と綺麗だった。

 

2.ベトナムランチ

エスニック料理好き&「外食は家で作れないものを」主義という共通点を持つ私たち。

ならば、と、私が以前から気になっていたベトナム料理のランチを頂くことに。

私はカオマンガイと唐揚げのセット。

Aちゃんはフォーとカオマンガイのセット。

 

カオマンガイは、だしが効いてもちっとしたご飯で、二人して絶賛だった。

唐揚げも、サクッと加減が絶妙でジューシーで、おいし~い。(隣がお肉屋さんだからかな?)

ちなみに、パクチー大歓迎の私たち。山盛りにしてほしかったくらい。

「唐辛子は辛いから気を付けてくださいね」と店員さんに言われてすぐに、真っ赤な顔で悶える、実はおっちょこちょいなAちゃん。

 

3.図書館・放送ライブラリー

ここからは「私の休日疑似体験コース」へ。

Aちゃんも読書好きなので、二人で図書館に行くのは初めてではない。

私が図書館でよく巡るコーナーをご紹介しながら、本談議に花を咲かせる。

 

Aちゃんは、あんびるやすこさんの「なんでも魔女紹介」シリーズが子供のころからのお気に入り。可愛くてキラキラとした作品は、彼女にぴったりだ。

中学の時、グリーンの水玉のシュシュを手作りして私にくれた、裁縫上手の女の子に。

 

お次は放送ライブラリーへ。

ブギウギの展示やアナウンサー体験もバッチリ楽しんだのち、視聴ブースへ。

ブーフーウー」の最終回、第37回NHK紅白歌合戦(1986)、8時だョ!全員集合 などなど...ちょっとずついろんな映像を楽しんだ。

中学のころからフィンガー5をきっかけに昭和カルチャーのとりこになった私。

普通なら同年代の子と共有しにくい趣味だが、Aちゃんは貴重な昭和歌謡好き仲間なのだ。(カラオケでは、きまって昭和歌謡タイムがある)

 

夢中になっていたら、いつの間に日が暮れていた。

ブギウギ写真を撮るために、慌てて山下公園へと向かう。

涼しい秋風とグラデーションの空と、ピンクの月が、美しかった。

セルフタイマーで、苦戦しながらブギウギ写真も撮影した。

採用されなくても、二人の思い出に加わったから、いいよね。

 

4.ハロウィンパーティ

再び家に戻り、パーティーの支度をする。

自炊しているからといって、人様にふるまえるほどの腕がない私は、何日も前から必死にメニューを考えた。

パーティー料理...秋の味覚...ハロウィン...かぼちゃ...

 

こ、こんなもんでどうでしょう...

・柿と豆腐の秋サラダ(水抜き塩豆腐)

・カボチャサラダ(くるみ、レーズン、パセリ入り)

・トリュフ風味ブルスケッタ(生ハム、アボカド乗せ)

 

調理時間をかけない、失敗しない、その2点を意識して、冷製料理づくしとなった。柿のサラダはAちゃんが担当してくれた。

素材自体が良いので、どれもすべて美味しくできてよかった。

 

そしてなんと、Aちゃんが食後のデザートを作って持ってきてくれた!

"牧場の朝"でつくるティラミスと、紫イモのスイートポテト。

イモ好きな私のために作ってくれたスイートポテトは、素朴な甘さでとっても美味しかった。ティラミスも、濃厚でクリーミーで最高。加糖のヨーグルトで味付けいらずだし、洗い物も手間も少なくていいな~!

ネットで話題のレシピらしく、私も作りたいので忘れないように↓

youtu.be

ありがとう、ごちそうさま!

楽しい楽しい、ハロウィンパーティーだった。

 

5.銭湯

温泉好きな私たち。プランの最後のお楽しみに、下町の古い銭湯へと向かう。

突然の通り雨が降ってきて、真っ暗な道を二人で傘を差しながら歩いた。

仕事終わりに歩くのと違って、大好きな友達が隣にいると、雨も街灯もキラキラして見えるんだな。

 

常連さんで賑わう銭湯はかなり熱めの温度で、長風呂派の私たちでも、涼みながらじゃないとのぼせそうだった。(珍しくAちゃんが水風呂に浸かっていたくらい。)

体の芯までポッカポカになって、湯冷めしないうちにAちゃんを駅まで送った。

朝から一緒にいたから、急激にさみしくなってくる。

改札の向こうに消えていくAちゃんに、見えなくなるまで大きく手を振った。

 

次、いつ会えるか分からないけど。

聞きたいこと、話したいこと、まだ、たくさんあるけど。

 

 

野毛の町を歩きながら、Aちゃんがこんなことを口にした。

 

「お互い家庭が厳しいわけじゃないのに、どうして学生の時、あんまり自由にしなかったんだろうね。」

 

私は笑って、「たしかに。もっと遊べばよかったって後悔してる」と言ったが、今改めてこう考えている。

 

確かに私たち(特にAちゃん)は、所謂優等生で真面目で、聞き分けの良い、いい子ちゃんだった。自惚れでも何でもなく。

中一の時は同じクラス。部活も同じ。登下校も一緒の私たちは、生活態度までよく似ていた。

 

後悔しているのも事実だ。他人の目を気にしたばかりに損したことも多々あるし、ありのままの自分ではないという、違和感もあったから。

どうせ大人になるんだから、子どもの時くらい、子供らしくしてもよかったな。もっと好き勝手やって、失敗して、人に迷惑かければよかったかな。

 

それでも、

Aちゃんの前では、まさに子どもらしく、ティーンエイジャーらしくいれた。

そして、私らしくいれた。

家族のこと、部活のこと、クラスのこと、苦手な子のこと。

くだらない話から、内緒話まで、いろんなことを話した。

昭和歌謡が好きだってことも、Aちゃんに初めて話した。

 

周りの子は知らないだろう。

いい子ちゃんの私たちが、どんなくだらない話で、笑ったり、怒ったり、泣いたり、時にはすれ違って、気まずくなって、離れたり、仲直りしたか。

内弁慶で、家では母親に「わがまま娘」として手を焼かれていることも。

以外と頑固で、こだわりがあって、譲れないものだってあることを。

 

私たちは、いい子ちゃんだからこそ分かり合えたし、心地いい関係性に慣れたのだと思いたい。だから、出会ってから今まで変わらず、人として尊敬しあえる友達でいられたのだと。

家族同然の距離の近さで、時には攻撃的な言葉さえ率直に言い合えるのが「友達」だと主張する人もいるだろう。

だが私は、「親しき中にも礼儀あり」という言葉がぴったりなこの関係が、心から大切で、かけがえのないと思っている。

 

なかなか会えなくなっても、お互いの知らないことが増えていっても、自信を持って人に自慢できる。

そして、何歳になっても、たとえこの先長い間音沙汰がなくても、変わらない関係でいられると信じている。

 

Aちゃん。

そんなあなたに、出会えて幸せだよ、ありがとう。

あの時、勇気を出して、階段の上にいる彼女に声をかけた、12歳の私が誇らしいよ。

 

 

彼女とはたくさんの約束を交わしている。

小さな約束から、大きな大きな約束まで、ずらりとある。

正直もう、数えきれないくらい。

 

中でも3つの約束は、繰り返し繰り返し交わし続けている。

 

30歳になったら、二人でタイムカプセルを開けようね。

お互いの結婚式では、友人代表スピーチをよろしくね。

子どもが生まれたら、助け合おうね。

 

どんな形になっても果たせたらいいな。

 

Aちゃんなら、どんな私にも「素敵だね」ってにっこり笑ってくれる。

彼女はそういう人だ。

 

それがAちゃん。

私の幼馴染で、理解者で、親友。

一息つこう。

 

一週間ぶりの日記だ。

 

忘れていたわけでも、書くことがなかったわけでもない。 

この一週間、久方ぶりに大学時代の友達と集まったり、実家に帰ったり、比較的充実していた。

 

だからかもしれない。

最近あった出来事を、友人や母に話して消化することができたので、日記に改めて書こうとならなかった。

単に忙しかったこともあるが。

 

この先、忙しさに追われて日記を書く余裕と暇を自分に与えられないのはごめんだ。

本を読む余裕と同様に、心からほしい。

特筆すべきことがなくたって、なんでもない私の暮らしを記していきたいもの。

 

 

だから、このへんで一息つこう。

 

 

睡眠不足が続いたので、今日の休みは、丸一日家の中でゆっくり過ごすことにした。

 

ここしばらく、外食と食べ過ぎが目立ったので、バランスよく和朝食を頂く。

母から教わった通り、無洗米を炊くときは水の量を多くすると、冷蔵ストックしても固くならずに済んだ!

知らずに9ヶ月もの間硬い米を...と嘆くネガティブな自分をなぐさめる。

余った塩鮭は鮭マヨおにぎりにして明日の昼食に。こうやって毎日、明日の楽しみをひとつでも作るのが生きるコツさ。

 

お腹も膨れ、お日柄も良いので、ついに衣替えに着手。 

といっても、それほど時間はかからない。

我が家は狭い割に衣服の収納スペースだけは余るほどあるので、出し入れもスムーズなのだ。

二の腕がほっそりしたらね...もういいかい、まーだだよ...と、この夏ほとんど袖を通さなかったノースリーブスたちも丁寧に畳んでしまう。

 

冬のおしゃれも、大好き。

骨格的に着膨れしちゃうけど、母と選んだ素敵なタイトスカートが助けてくれるはず。

 

やることやったら、とっておきの幸せ時間。

70名以上の予約待ちを経て読む、母おすすめの「マカン・マラン」

ドラマ化しやすそうな小説は、面白いことには間違いないが私の趣味ではないことに最近気づいた。

主軸となる人物や舞台はそのままに、章ごとに主人公が変わるスタイル...とでもいうべきか。

 

没入感・共感を読書の醍醐味としているので、章が変わるごとにリセットされたような気分になってどうもいけない。

(ドラマは、一週間おいて次の話を見るわけだから、いいのかもね)

現実世界では安定とルーティン大好き人間だが、本の中くらいは刺激や変化を求めたいのかもしれない。

昔、学校の1クラスを題材にした児童書で、約30人の生徒分のチャプターを読んだ時など、どっと疲れた。

 

決して、待ち時間と比例してハードルを上げたからではない。

ただ、予約順位が上がるたびに謎の興奮を感じたのも、今私の後ろに70名の行列がある事実に慄いていることも確かだ。

 

開いた本を顔にのせ1人うとうと眠り、空腹を感じて起きあがる。

 

そうめんを茹でていたら、呼び鈴がなった。

実は朝からずっと、今か今かとその音を待っていたのだ。

 

送り主は、以前カレーを頂いた宮崎の叔母様。なんと続けて、宮崎の美味しいものを送ってくださったのだ!!

ほわ〜あ...どれもこれも美味しそう...

空飛ぶ玉ネギ!?わ、とんこつラーメンなんて何年も食べてないから嬉し..かつおとふりかけはお弁当のおにぎりに!...この味噌絶対私好みだ...わ〜どうやって使おうか迷っちゃう!!

気分は最高!!

と、頭の中はうきうきパラダイス。

 

初めて目にするものばかりだが、何を食べても"てげうまい"宮崎産だ。美味しいに決まってる。

 

本当に、わざわざ、ありがとうございます。

大事に大事に、いただきます。

 

といいつつ、我慢できずに青島せんべいをおやつにいただく食いしん坊な姪であった。

 

ホクホクと仕送りを眺めながら、これまた頂き物の島原手延べそうめんをすする。

みなさんから頂いた栄養で毎日生きていること、お分かりいただけだろうか。

(自分1人だと朝ごはんのような献立ばかり)

業務スーパーの1番安いめんつゆでは、お高いそうめんも台無しなので、手作りつゆで。

 

私好みの椎茸出汁が効いた甘めつゆを目指したが、まだまだ追い求めなきゃだ。

 

 

一日引きこもって怠けた体をエクササイズしたのち、「翔んで埼玉」を見返しながら、ゆっくりシャワータイム。

仕事後だと、遅い時間で近所迷惑にならないように(ドライヤーの音も含む)さっさと行水程度なので、休日ならではで嬉しい。

 

夕食は、さっぱりとこってりが一度に叶うコブサラダ。

はー、幸せ。休みって幸せ...。

 

そうして今、音楽を聴きながらゆっくり日記を書ける幸せを噛み締めている。

 

一息つかないと、ただでさえ呼吸が浅い私は生きづらいから。

 

 

この頃、仕事の方も忙しくなってきた。

元から増やそうと思えばいくらでも増やせる仕事だが、どうにもそのやる気が私にはなかった。

 

ルーティンワークをこなして、誰にも迷惑をかけず、平穏無事に日々の仕事をこなす。

 

それでいいじゃないか、そう考えていた。  

 

でも、"変化は必ず成長につながる"のだと、信じざるを得ないこの頃。

 

人のふり見て、なんて生意気だが、自己流を変えずに周囲から孤立する人の姿を目の当たりにしているかもしれない。

 

あるいは、もうすぐ来られる新入社員の方の研修担当を任されたこともあるのかもしれない。

自分が会社の一員だという自覚がようやく、少しずつ、芽生えて来た。

 

でも、それでもやっぱり無理はしたくない。

お金のために仕事は頑張るけど、変化と成長をなるべくし続けるけど、ありのままの自分で働きたい。

 

一息つけなくなったら、終わりだ。

 

全く仕事のことを考えずに、こんな休日を過ごせるくらいじゃないとね。

 

さあ、ベッドに入って「マカン・マラン」の続きを読もう。

深く息を吸って吐いて。

起きたら明日も仕事へ向かう。

 

お弁当には鮭マヨおにぎり。

明日の私が一息つけるように。

よかったさがしSP

慢性的な気分の落ち込み。

 

これが今の私のリアルかもしれない。

 

9月27日、山下達郎のライブ会場にて、ようやく手に入れた名盤、「FOR YOU」

 

先日、ついに聴く決心をした。

部屋に掃除機をかけ、レコードコーナーも秋らしく飾り付け、準備は万全だった。

 

神聖な儀式前のような緊張、高揚と共にレコードプレーヤーの電源を入れ、針を落とす。

 

ライブと同様、オープニングトラックは「SPARKLE」。ついに私の部屋にも、あの最高のギターカッティングが鳴り響く!

 

はずだった。

 

だけどユートニウム博士はまちがってよけいなものを入れちゃった!

それは、ケミカルX

 

もとい。

現実はもっと残酷だった。

音を聴くやいなや、私の視界はショックでぐにゃりと歪んだ。

なぜなら、文字通り、音そのものがぐにゃりと歪んでいたからである。

 

実は心当たりがあった。

前回レコードを聴いた際、回転数は合ってるはずなのに、0.5倍速のような音になった時があったのだ。聖子ちゃんのかわいい歌声も、ボイスチェンジャー犯人声のようになっていた。

試しに違うレコードをかけると、問題ないように思えたので、「運悪く何枚かが、暑さや湿気で歪んだのかな。まあ、中古だしな。」とそれほど気に留めなかった。

レコードも、たまにしかかけないので、変化には疎かったのだ。

 

だが、今回は話が大きく違ってくる。

何せ、4000円以上かけて手に入れた新品。

(ついでにいうなら、最新リマスター&ヴァイナルカッティング版だ)

 

そうなると、もちろん原因はレコードプレーヤーにあるわけで。

ターンテーブルなのか、針なのか。

どこかが歪んでいるなら、音も歪むに決まっている。

 

そもそもこのプレーヤーは、学生時代に父からもらったもので、じきに10年物になる。

大切な宝物には変わりないが、正直メンテナンスもろくにできていないし、壊れてもおかしくない。素人でごめん。

 

なんにしろ、まずは原因を調べて、そこから直すなり、新しく買い替えるなり、解決策は自明だ。

 

しかし、私にとってFORYOUを聴けなかったショックはあまりにも大きく、神聖な儀式を失敗させたも同然だった。

失意の中、SPARKLEの途中で針をあげ、レコードを再び袋にしまい、プレーヤーを見てみぬふりするので精一杯だった。

 

そして今である。未だに、である。

慢性的に気分が落ち込んだ私がここにいる。

 

何かトラブルがあると、反芻してうじうじ悩み続け、解決に動き出すまでが長い。

やだやだ、私の悪いくせだ。

(最近の皮膚トラブルもそうだ。さっさと皮膚科に行けばよかった。)

 

…まあ、自分の弱い部分も認めて愛してあげるって決めたからね。

仕事や他の楽しいことにフォーカスしてメンタル安定させるのも、自分の扱いが上手くなってきている証拠じゃない。 

手前の機嫌は手前でとる、それが大人。

 

よし。

 

こんな時こそ、“よかったさがし"をしよう。

 

よかったさがしは、母に勧めてもらった。

どうやら、母が好きなアニメ「愛少女ポリアンナ物語」からの言葉だそう。

www.nippon-animation.co.jp

※母は世界名作劇場の大ファン

 

ネガティブで、悪いところばかりに目がいきがちな娘に、ピッタリな教訓だ。

しかし、今回は手強いぞ。なんせ大好きな山下達郎のレコード。特大の「わるかった」だ。

 

ならば。

プラマイゼロ、むしろプラにするくらいのよかったさがしSP(スペシャル)をお送りしよう。

最近の、よかったさがし、スタートだ!

 

 

まずはひとつ、さっそく見つけた!

 

実家から冬用の毛布を届けてくれるついでに、両親がたくさんの食料を届けてくれた。

秋刀魚や、

梨(朝のヨーグルトにトッピング)など、

好物だらけの秋の味覚を贅沢に味わうことができた。

他にも野菜やお肉、乳製品や調味料も...ありがたや、ありがたや。

急激に私の食卓は潤い始め、美味しいご飯で身も心も健康。よかったづくめである。

 

さあ、どんどんいこう!

 

従兄とその彼女さんのお家にお邪魔して、先取りハロウィンパーティを開催した。

私が持ち寄ったベーグルとかぼちゃサラダ

彼女さんが作った美味しいビーフシチューを囲み、なんとも楽しいパーティーだった。

素敵なお家の居心地もさることながら、気が合うお二人との話に花が咲き、気がつげば6時間近くお邪魔してしまった。

その上、美容師の彼女さんに前髪まで切っていただいて...

1.2歳差だが、いつも妹のように可愛がってくれる、優しくて穏やかで、素敵なお二人。

心から癒しの時間だった。

 

さらにもうひとつ!

 

その従兄のお母さん、つまり私の叔母様から、美味しいレトルトカレーを二種類も頂いた。

早速朝ごはんに、マンゴーカレー。

優しい甘さで、おいし〜い!

遠く離れた南国に、私を見守ってくれている人がいる。その事実と、カレーのスパイスとで、不思議と力が沸いてきた。

本当に、ありがとうございます。

 

まだまだ!

 

通勤途中にある老舗の蕎麦屋さん。

特に仕事終わりだと、出汁のいい香りにたまらなく誘われる。

ついに先日(しかも休日)、誘惑に負けた。

天ぷらそば、460円。

うん、濃いめで甘みも抑えられた、関東のおそばだ。沁みる。

天ぷらはほぼ衣だけど、おつゆを吸ったぶよぶよ加減が、いいねえ。

 

お!ここにも発見!

 

前回の日記で、「イモはほくほくで大きいイモにかぎる」「スリムなイモを見ると悲しくなる」などと、熱く語っていた私だが、

natsunitsuki.hatenadiary.jp

まさか大根より太いイモに出会うとは思わなかった。

成人男性がようやく両手で包めるくらいの大きさだった。

蒸すのが難しそうで泣く泣く手放したけど、

久しぶりに私をワクワクさせてくれるイモに会えてよかった。

 

もうないんじゃない?え?ある?

 

絶賛髪を伸ばし中の私。

漸くセミロングに到達したが、目指すはサラつやロングヘア―。

ということで、今月の美容代はヘアケアにつぎこんだ。

左から、TANGLETEEZERのヘアブラシ約3000円、ヘアオイル約800円、9012(CRATEsの新ブランド)のイオンカールアイロン約9000円。

しめて、約13000円を美髪のために投資したのである。

食費1万円に切り詰めているのに、たいしたもんだ(他人事)

 

ヘアアイロンは、ヨドバシカメラで店員さんと一緒に選んだ。

選択肢が多く、ピンキリなものは、プロに聞くのが手っ取り早いかもね。

(裏事情:店員さんに話しかけられるのが苦手で一度断ったが、その後何時間も立ちすくむ私に見かねて声をかけてくれた)

今日までありがとう、失礼だけどキリのヘアアイロン。実家用にするね。

 

ラスト!

 

うれしたのしや一人暮らし。一方で、暇つぶしのエンタメは必須だ。

特に、一人の食事や家事の最中など、無音無言は耐え難い。

スマホ1台あれば、テレビがない我が家でも十分楽しめるので、ありがたい。

ちなみに読書は、「ながら」がしにくいので布団に入ってから寝るまでの間や、休日ゆっくり、など没頭する娯楽としている。

 

最近は、続きを楽しみにしているものが多く、充実した暇つぶしだ。

せっかくなので、はまっているコンテンツをご紹介。

 

・タイガー&ドラゴン

ドラマ|タイガー&ドラゴンの動画を無料で見れる配信サイトまとめ

https://www.netflix.com/jp/title/81642967

両親がどえらいハマっていた理由が分かった。

やはりクドカンさんは天才だあ。(「池袋ウエストゲートパーク」に限り1話で挫折したのは、食事中に向かなかっただけと思いたい。)

なんといってもキャストが最高。

伊東美咲さんの嫌みのないぶりっ子演技は女でもイチコロだよ。メグミちゃ~ん!

あと2話で見終わってしまうのが名残惜しい。

 

・Nizi Project Season2

niziproject.com

・PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS

produce101.jp

大好きなオーディション番組が、並行して見られる幸せ。

こんなに才能のある子たちが日本にはいるんだ!って、驚きと同時に嬉しくなる。

若い子ががむしゃらに夢を追いかけるキラキラした姿?なんぼあってもいいですよね。

 

虹プロ1は、ちゃんと見れてないけど(NiziUを「にじゆー」と呼んでいた)2は最後まで見たいな。推し?は特にいないけど、トモヤくんの表現力の高さに度肝を抜かれた。

2006年生まれ...17歳?親元離れて、韓国でたくさん努力したんだろうなあ。

 

一方プデュシリーズは、大学時代に友人の影響でWANNAONEを知ってから、欠かさず見ている。

日プ女子、期待を超えてくる面白さ!なんなら男子の方よりプロ意識も高そうで、エネルギッシュで、見てて楽しい。

 

ただ、オーディション番組は母と一緒にやいのやいの言いながら見るのが恒例だったから、一人で静かに観ているとなんとなくさみしい。

 

・も少し生きる(YouTuber)

www.youtube.com

クリエイターとして異彩を放っていると思う。

SNSは、きれいな部分、華やかな世界をうつす虚像の世界という捉え方もある。

しかし、だれもがみな、あこがれや自分にないものを見ても、比べずに割り切って過ごせるわけじゃない。見たくないものも見えてしまうんだな、これが。

そんな中で、人間らしさ、弱さや葛藤をさらけ出した作品は、人に寄り添い(本人の意図に関わらず)時に救ってくれるのではないか。

 

なんてことを、も少しさんの映像を見てると考えてしまう。

 

女性ならば、ダイエット経験者ならば、共感できることが多くあるのでは。

いや、女性に限らず、日々もがきながら何とか生きている全ての人に見てほしい。

極端(0.100)な思考や現実逃避で食を選ぶところなど、自分と似通った部分があるので、なおさら惹き込まれてしまう。

次の投稿が待ち遠しいな。

 

 

いやあ、

ここ最近だけで、これほどたくさんの“よかった”が見つかるとは思いもしなかった。

並べてみて分かった。そのほとんどが周りの人のおかげで生まれた“よかった”だって。

そうか。よかったさがしは、慰めなんかじゃない。恵まれた環境に気づかず不足ばかり嘆く僕らを、叱ってくれているんだ。

そしてどんな時でも、感謝を忘れず前を向いて明るく生きよう、ということか。

 

 

ねえ、そういうことだよね?ポリアンナ

一話も見たことないけれど。

 

うん。この調子で、よかったさがしが得意になれたらいいな。

いちいちスペシャルを開催しなくても、ひとつの”よかった”で全部帳消しにしちゃう。

それくらい単純な人になれたらいいな。

 

 

袋に包まれた「FOR YOU」が部屋の片隅、今か今かと私を待っているような気がした。

 

 

イモと私 ~軽トラを追いかけて~

やった、やったよ!

ついに、百均蒸し器でのふかし芋が成功した。

平たく並べて、中火で15〜20分。

蓋がちゃんと閉まってなくてもできた。

今回は紅はるか。ホクホク派なので、結構スキ!

 

イェーイブイブイ、買ってくれた母、見てる?

 

この喜ばしい日を記念して、今回はサツマイモ、とりわけ焼き芋に関する記憶の蓋を開こう。季節はすっかり秋だしね。

 

併せて、前回放送ライブラリーで出会った名作、「焼き芋夫婦の鎌倉冬物語」のことも、かいつまんで話そう。

 

ーーーーーー

さつまいも、くり、かぼちゃ....

 

何故私は、これほど無類のイモ好きになったのか。

母には、「きっと、ばっば(父方の祖母)とパパに似たんだよ」と常々言われる。

ちなみに、唯一イモの中でジャガイモをあまり好まないのも、じっじ(父方の祖父)譲りだという。顔も含め、私は父方の血筋が濃いらしい。

 

そうか、イモ好きは遺伝かもな。

近年のイモブームに乗せられたのならまだしも、私のイモ好きは物心つく前からだから、そう考えるのが筋かも。

 

はるか昔の記憶だが、あれはまだ、幼稚園に通ってた頃だと思う。4.5歳くらい。

あの頃、その小さく短い脚で私は、

 

 

500円玉を握りしめ、懸命に、軽トラを追いかけていた。

 

 

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毎年冬になると、古都・鎌倉にリヤカーを引いて焼き芋を売り歩く老夫婦がやってくる。山形県山辺町の吉田政男さん、とよさん夫婦が、冬の出稼ぎとしてこの町で焼き芋を売り始めて40年。純朴な人柄を慕い、行く先々で二人を待つお馴染みさんたち。もらい火による家の全焼など、困難を乗り越えながら一家を支えてきた吉田さん夫婦と、鎌倉の人たちとの交流を描く。心温まる映像の中に、人間の生きざまと文明批評を映し出している。

 

番組のあらすじである。

どうです、すでに名作の香りが、甘い焼き芋の香りが、ぷんぷん匂ってくるでしょう。

 

出稼ぎ労働のピークは、昭和47年。

のべ34万人もの人が、故郷を離れ出稼ぎ列車に乗った。そのほとんどが、吉田さん夫婦のように東北地方出身者だそう。

 

「そこが知りたい」の東京晩飯回に出演した、山形から出稼ぎにきたお父さんの姿が浮かんだ。

natsunitsuki.hatenadiary.jp

 

たいていは、夫が出稼ぎに行き、妻は留守を守るもの、だが、とよさんの「父ちゃん行くなら俺も行く」という一言で、夫婦での焼き芋売りが始まった。

 

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「いぃしや〜きいも〜おいも~ぉ」

 

きた。

 

すかさず母の元へ。

「ママ!焼き芋食べたい!買っていい?」

私の目はらんらんと輝き、その手のひらはすでに頂戴のポーズで上を向いている。

買っていい?と可愛くねだりつつ、自分にそのお金がないことをよくわかっている現金なやつだ。

 

愛か、いじらしさか、その両方か、(あるいは断ったら後が面倒だからか)

母は、金ぴかの500円を財布から取り出して、小さな手に載せた。

 

子供のおやつなど、駄菓子屋で100円あれば十分なのだから、500円も渡すのには抵抗もあったろう。なんとも優しい母である。

(しかも目を離したすきに500円分のイモを、丸々一人で平らげようとする娘にだ。)

 

感謝の言葉もそこそこに、私は握りしめた手のまま急いで玄関を飛び出す。

 

目指すは、焼き芋を売る移動販売車。

 

吉田さんのようにリヤカーではなく、軽トラの荷台に石を敷き詰めてイモを焼く、

お馴染みの歌をスピーカーから流しながら、ほくほく美味しい焼き芋を売る、

あのおじさんの元へ。

 

走る。

 

10棟近くが建て並ぶこの団地は、商売人にとってもお得意の営業ルートだろう。

ぐるりと周回するそのスピードは時速20kmにも満たないだろうが、ぐずぐずしてはいられない。

 

走る。

 

おしとやかとはいえない女の子だった。常に生傷絶えず、外で遊ぶ子供だったので、足の速さには自信がある。

幼少期に、母が私と姉の体力作りのためにマラソン(年の数団地の公園を外周)を義務付けていたが、まさかここで生かされるとは。

 

走る....追いついた!!!!

 

「あの、あの、」

とたんに幼い少女らしく、小さな声でもじもじとする私。

こういうときだけ、おしとやか。

 

運転席から降りたおじさんは、差し出した500円ですべてを察してくれる。

トングで焼き石の中から焼き芋をつかみ、茶色い紙袋に入れ、「大きいのいれといたからね。熱いから気を付けて。」

と、かがんで手渡す。無駄のない動き。

 

「はい、」

 

小さな声で返事をして、再び私は走り出す。

もう急ぐ必要はないが、胸に抱いた温かいぬくもりを、早く味わいたい一心で。

 

そうして家に戻るなり、まだ熱々の、甘くてホクホクの焼き芋にありつくのだ。

 

 

ああ、あのおじさんの焼きいも、なんておいしかったことだろう。

今となっては、幻のようで、思い出せない。

 

確かなのは、ねっとりではなく、ほくほくだったこと。

大きくて立派な、さつまいもだったこと。

 

そのため今も、幼児期に形成された味覚のままの私は、「イモはほくほくで大きいイモにかぎる」と頑固おやじのように語るのだ。

 

野菜売り場でこのようにスリムなイモたちを見かけるたび、

なぜか悲しくなるのも、そのせいだ。

 

そのくらい、おじさんの焼き芋は美味しかったのだ。

 

ーーーーーーーーーー

 

正月三が日は、吉田さん夫婦にとってここ一番の稼ぎ時。

銭洗弁財天近くに夫婦2台のリヤカーを下ろし、参拝客相手に焼き芋を売る。

洗い清めたお金は、早く使えば使うほど、返ってくる御利益が大きいといわれているからか、あっという間に行列ができる。

山形から、息子さんとお孫さんもお手伝いに来るほどの大繁盛ぶり。

 

長い付き合いのお得意様方とのやり取りもほほえましかった。

特に印象的なのは、とよさんと鎌倉マダムの一場面。

ファーの帽子をかぶり、英国貴婦人のようなおしゃれマダムと、三角巾をまいたエプロン姿の山形弁マダム。

少女のように仲睦まじい姿に自然とこちらも笑顔になった。

出稼ぎと焼き芋を通した多くの一期一会を、大切にするお二人がそこにいた。

 

ーーーーーーーーーー

 

あのね、私くらいになると、軽トラから聞こえるスピーカーの音で、団地のどのあたりにいるか大体わかるのよ。

 

ほら、耳をすませて...

 

 

あ、この歌の遠ざかり方....大変だ!団地からもうすぐ出て行っちゃう!

普通の道路に出たら、もうその時速には追い付けないのに!

 

こんな時は、秘密兵器、キックボードの出番である。

といっても、現在の電動タイプなわけがない。

文字通り、キックして前に進む、アナログのものである。

 

だが、自転車にまだ乗れない当時の私は、キックボードを自分の体の一部のように使いこなしていた。

時にそのスピードは、自転車に乗った姉と並走するほどで。

 

なので、焼き芋屋が団地を去る前に捕まえることも容易だった。

もちろん、あと一歩(一蹴り)のところで取り逃がした日もある。その悔しさをばねに、成長したのだ。何の話?

 

ーーーーーーー

 

もう一つ素敵なエピソードがある。

政男さんのお得意様の一人に、大きなお屋敷の奥様がいた。

いつも、門の前で焼き芋を待っていた奥様。

 

ところが、ある日を境にめっきりその姿を見かけなくなった。

奥様は、突然帰らぬ人となったのである。

 

政男さんはそのことを知ってなお、リヤカーを引いて、毎度そのお屋敷を通った。

そして、仏様のお供えに、と決まって焼き芋を門の前に置いていくのだ。

 

感激したお屋敷の主人は、政男さんに「自分は絵を描くものだから、是非お礼に絵を贈りたい」と伝える。

 

その主人というのが、日本画の巨匠、鏑木清方さんだったのだ。

吉田さん夫婦もその偶然には大層驚いたという。

 

そうして贈られた絵は、美しく鮮やかに咲く梅の花を描いていた。

 

紅梅の時期、出稼ぎを終え、鎌倉から故郷へ帰る二人を想った美しい絵だった。

 

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小学生になると、焼き芋を買う上で大きな障がいとなる、「恥じらい」がでてくる。

 

焼き芋好きをひた隠しにするしずかちゃんよろしく、こそこそと周囲を伺い、隠れるように焼き芋を買うようになった。

団地の公園には同学年の子がよく遊びに来るので、焼き芋を買う自分の姿が見つかるリスクと隣り合わせだったことも大きい。

ノンデリカシーの男子なんかに見つかれば、「あー!〇〇が焼き芋買ってんぞ―!!」

なんて大声で指をさされもおかしくない。

内弁慶で、学校では「プリティいい子ちゃん」で通っている私にとっては死活問題だった。

 

が、いかんせん移動販売の焼き芋屋というのは、目立つようにできている。

居場所を知らせるあの歌声にさえ、その頃の私は「しぃーっ!!」とでもいいたかった。

 

ああ、無邪気に軽トラを追いかけられた幸せよ。

買いに行くのは恥ずかしい、でも食べたい。

 

考えた末に、「母に焼き芋を買いに行ってもらう」という小学生らしい答えにたどり着いた。今考えると、出資者自らを使いに出すのだから、とんだ禁じ手である。

 

しかし、母だって毎回律儀に行けるわけがない。結局は、恥を覚悟で買いに行くはめに。

 

今でも思い出すのが、とある日の挑戦。

例によってこそこそと焼き芋を買いに行く私。

運悪く公園沿いに軽トラはとまったが、どうやら小学生はいなそうだ。

よし!素早く500円を払って、あとは受け取るだけ。

このころになると、おじさんも私を「時々一人で買いに来る女の子」と認知しているようで。どちらかというと愛想がない方だったが、「いつもありがとね」と、おまけで小ぶりなイモをつけてくれるなど子供には優しかった。

 

だが、そんな優しさを知ってか知らずか、幼い私の心のうちはひどく自分勝手。

  

(も〜はやくはやく、おまけなんていいってば!)

 

まるで思春期の娘である。

待ち望んだ焼き芋を受け取り、安心したのその時、

 

「おーい!待てって ぎゃははは...!」

 

団地の入り口からまっすぐ公園にかけてくるあの姿、

間違いない。泣く子も泣かす、学年きっての悪ガキ軍団だ。

 

メーデーメーデー

 

どうする。ダッシュで家に帰るか。

ダメだ、ルート的に焼き芋を抱えた私とあいつらがちょうど鉢合わせる危険が。

反対方向に逃げるか。いや、もう間に合わない。

 

どうしよう、どうしよう.....

 

 

私はとっさに、焼き芋を胸に抱え、時速20km以下でのろのろと走る軽トラにぴったりくっつき、かがんで歩きはじめた。

 

公園で遊ぶ軍団からの認識は(焼き芋屋が走ってるな~)、ただそれだけだろう。

まさか、その影に同級生の女の子が潜んでいるとは、夢にも思わない。

とっさに思い付いた、嘘みたいな作戦だったが、見事バレることもなく、公園から離れることができた

 

家にたどり着いて食べた焼き芋のおいしさは、ひとしおだった。

 

あの瞬間、私と、焼き芋を載せたおじさんの軽トラは、一体化したのだ。

おじさんは、サイドミラーにうつる、屈んでついてくる怪しい女の子を、見て見ぬふりしてくれたのだろう。

やっぱり、優しいおじさんだ。

 

それでも、あんなに好きだった焼き芋が、私にとって恥ずべき存在になってしまった事に、変わりはなかった。

 

あーあ、本当に思春期と同じよ。後になって気づいてからじゃ、遅いのにね。

 

ーーーーーーーーーー

 

夏場は故郷、山辺の畑で野良仕事をする吉田さん夫婦。

 

冬の鎌倉でのことは、お客さんが送ってくれるたくさんのスナップ写真が思い出させてくれる。リヤカーを引いて焼き芋を売る姿、お客さんと並んで笑顔でうつるすがた。

全てが輝いているようで、その裏には苦労が詰まってる。

 

息子さんの、「小学校の入学式、出稼ぎのために(ご両親が)来てくれなかった。」という言葉に、ときさんが「それは親だから気にはなっていた」と申し訳なさそうに口にした。

 

出稼ぎをやめて余生をゆっくりと過ごそうと思っていた矢先、集落で火災があり、家が全焼した。

息子さんから同居を進められたが、家を建て替え出稼ぎ生活を続ける二人。

 

それでも、鎌倉のお客さんたちは、冬を楽しみに待っている。吉田さん夫婦と、美味しい焼き芋にまた会える冬を。

たくさんの人に待っててもらえる人は、幸せだな。

 

でも、わたしにもうあの歌声が聞こえないように、あの蒸気の音が聞こえない冬が、いつかは訪れる。

どれだけの人が悲しむだろう。

たくさんの人に悲しんでもらえる人は、幸せだな。

 

ーーーーーーーーーーー

 

悪ガキ軍団との間一髪の出来事があったからかもしれないし、

単に、駄菓子屋のお菓子に夢中だったからかもしれない。

 

 

とにかく、学年が上がるにつれ、焼き芋を買いに行くことは少なくなった。

あの歌声をきいても、さおだけ屋や廃品回収の音と同じにしか聞こえなくなった。

 

 

そして、4年生になった私と家族は、新しい町へ引っ越した。

 

それは、生まれ育った団地だけでなく、おじさんの焼き芋との別れでもあったのだ。

 

もしかしたら、

 

もしかしたら、あの軽トラのおじさんも東北から出稼ぎにきたのかも、しれない。

いや、おじさんのおおよその年齢や標準語だったかどうかも、何も覚えてないけれど。

 

でも、もしかしたら。

 

 

....あれ?

そういえば、いつからだろう。あの調子はずれの歌が聞こえなくなったのは。

私の地元だけじゃない。

どこを探しても、めっきりあの頃の焼き芋屋さんの姿は見かけなくなった。

 

代わりに、妙に洗練された焼き芋を、よく見かけるようになった。

あの頃、隠すように小走りで抱えた焼き芋は、堂々と気軽に買える食品となった。

スーパーやドンキホーテの一角には、大抵無人の焼き芋屋がある。

小綺麗な百貨店の食品売り場にも、蜜の滴る高級品種の焼き芋が、スイーツのように並んでいる。

 

 

よろこばしいことかもしれない。

今や焼き芋は出稼ぎの手段ではない。

立派に、ブランド化されているのだ。

リヤカーは、軽トラは、キッチンカーに姿を変えたのかもしれない。

 

 

そうか、そうかもな。

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

赤レンガ倉庫で「おいも万博」が開催されることを、先日母がLINEで教えてくれた。

 

母が変わらず知っているように、さつまいもは今でもずっと、私の大好物だ。

ただ、もっぱら生の芋を買ってふかすばかりで、焼き芋はもう長いこと買っていない。 

知らぬ間に、比べてしまうからかもしれない。

思い出補正の隠し味も加わって、夢のような美味しさの、あのいつかの焼き芋と。

 

 

 

 

実家に帰ると、稀に冷蔵庫の中に市販の焼き芋がある。 

あの頃と同じく、茶色い紙袋に包まれたそれを温め直して、一口かじってみる。

 

うん。

 

当たり前だが、どうしたって焼きたてには戻らないよな。

 

ネズミがかじったような歯形がついた焼き芋を、そっと台所に置いた。

 

チョウンチュマルポネセヨ!

 

安心してほしい。

 

いくら早起き大得意だからといって、

流石に明け方からみなとみらい観光はしない。

 

今日は、朝ランニング、朝ランなるものをするためにこの地を訪れたのだ。

 

8月の中頃からお試し中のランニング。

週1回でも走れたら偉いね、というゆるいスタンスで今のところやっている。(でないと、また自分に枷をひとつ増やしてしまう)

仕事日の場合は夕食後、休日の場合は朝食前に30分程度。音楽を聴きながら、たまに歩きながら、自己流に走る。

 

いつもは近所の公園か、見知らぬ団地の周りをぐるぐると外周する。例によって、今朝もどちらか一方に向かうはずだった。

しかし、なぜか4時半過ぎに目覚めてしまったことが事のきっかけとなった。

 

元々、朝ランの場合、涼しくて日も高くない早朝に走るが、早くても5時半くらいの起床を予定していた私。

 

(まだ外真っ暗...)

しかしそこで、覚醒してない頭にしては冴えた考えが浮かぶ。

 

そうだ!いつかはしたいと思っていた、憧れの"みなとみらいラン"を決行しよう!

 

 

ということで、みなとみらい朝ランからはじまる今回の休日。

始発の電車に乗って、桜木町駅に到着。

そこから山下公園まで行き、折り返して桜木町に戻る、というコースで、1時間ほどのランニングをして汗を流した。

 

...結論から言うと、みなとみらいランは今回で充分だと感じた。

もちろん、ロケーションは言わずもがな最高だった。日本丸や大桟橋、赤煉瓦が朝日に照らされる様子は、壮観だった。

歩道も広く、美しく整備されたこの地区は、絶好のランニングコースで。早朝から多くのランナーで賑わうわけだ。

 

単純に、私に向いてなかっただけ。

なぜなら...

一つ、近場といえど電車にわざわざ乗ってランニングするほどのやる気がない

二つ、広すぎて落ち着かない、ハムスターのようにぐるぐる回るのが性に合ってる

三つ、海沿いは遮るものがなく日が眩しい

四つ、なんか足が痛くて半分くらい歩いた

 

多分4つ目が紛うことなき本音なのだろう。

私ったら、あれこれ理由をつけて自分の落ち度を誤魔化すところがある、困ったさん。

 

ま、とにかく、良い思い出になったことだし、

これからは、「ええ、ランニングしてるんですよ。場所ですか?みなとみらい...とか、はい」

とカッコつけても、ダウトを唱えられる筋合いはない。

早起きしたおかげで、まだ1日は始まったばかり。一度帰宅して朝食を食べてから、改めて桜木町へと向かう。

そう、お決まりの休日コースだ。

 

図書館で予約本を受け取る。

開館直後は、どこか空気が澄んでいて、好き。

 

そして、放送ライブラリー

自分で言うのもなんだが、そろそろ顔を覚えられてそうだ。(他の利用者はほとんどがシニアの方なので、なおさら)

 

どういう意図か、カウンターのお姉さんから、

「学生さんですか?」と尋ねられたので、

慌てて「違います」と答えた。

(平日の午前中から利用する社会人女性は、滅多にいないのだろう。)

 

それでは、今日観た番組をご紹介。(もはやコーナー化しつつある)

 

1.「焼き芋夫婦の鎌倉冬物語

山形放送 2007.05.26

これが本当に素敵で心温まる名作だった。

ちょうど焼き芋をテーマにした日記を下書きしているので、今度、おりいってご紹介したい。

 

2.「生きる力をいただきます 〜命をはぐくむ食育のいま〜」

長崎文化放送 2007.05.21

長崎県職員から農家を経て、食育をはじめ様々な活動を行う吉田俊道さん。

食育の仕方も、発する言葉も「いいな!」の連続だった。

特に、「美味しいな!と思うことが多い人は、生きよう!と思うことが多い人」と子供たちに語る姿には感銘を受けた。

 

幼稚園で野菜を育てて、カレーを作ったこと、今でも覚えてるもんなあ。

なんでもすぐ手に入るのに、なんでもすぐ捨てられる現代で育つ子供達は、どんな食育を受けているのかな。

前回、豚のPちゃんの食育番組を観たが、教師のエゴで複雑にしなくとも、野菜も命と捉えてシンプルに学べるこっちの方がいいな、

と、つい比べてしまった。

こら、生意気だぞ。

 

せっかくなので、吉田さんおすすめの食習慣17箇条を、ご一緒にチェックしませんか。

1.旬の野菜を食べる  2.根菜類は皮ごと食べる

3.野菜の葉も食べる  4.「生長点」も食べる

5.元気な土で育った野菜を  6.海藻を食べる

7.食事の半分はご飯  8.朝は和食を

9.煮物、あえ物を食べる

10.梅干し、たくわんなどを食べる

11.喉が乾いたら水やお茶  12.雑穀を加える

13.間食をしない  14.30回以上噛む

15.心から感謝する  16.調味料も選ぶ

17.砂糖や塩も天然のものを

 

いかがでしたか?現在の私は、自信をもって習慣と言えるのはたった7つ。

吉田さんによれば、全てでなくてもどれか3つでも続ければ、よい変化があるそう。

番組で生徒たちも、「基礎体温が上がった」「勉強に集中できるようになった」と言っていた。

気になった方はぜひ、吉田さんが代表をお務めの"NPO法人大地といのちの会"へ。

https://daititoinotinokai.web.fc2.com

 

3.「関東甲信越小さな旅 ヨコハマ下町 〜横浜市 野毛〜」

NHK 1986.12.11

普段から買い物や食事で大変お世話になっている野毛について、もっと知りたくて。

今でこそ「飲みの街!」「せんべろ!」のイメージだけど、戦後闇市となって、市民を支えてきた歴史ある町だものね。

鯨のごった煮(残飯シチューともいう?)、今食べたら高級料理かも。

 

かもめ座、今はもう、幕を下ろしたのね...

ジョンフォード監督に陶酔するおじさまと、ピカピカに磨かれた金の手すりに、お会いしたかった。"心に残る映画"ってやつを、観てみたかった。

 

野毛の山からノーエ 野毛の山からノーエ 野毛のサイサイ

山から異人館を見れば 鉄砲かついでノーエ

鉄砲かついでノーエ お鉄砲 サイサイ

オッピコ ヒャラリコ ノーエ っとな。

この踊りも覚えて、野毛の街で舞いたい。

 

個人的に、野毛柳通り、風情があって好き。

揺れる柳と、提灯と、大岡川と。

 

 

ん〜〜今日も良質な番組を堪能した。

時刻は12時。さあ、お昼ご飯だ。

なんと今日は、おにぎりピクニックではなく、優雅に外食なのよ。へへへ。

 

馬車道を通ると、サラリーマンやOLの皆さんもランチに繰り出していた。

私はその風景を観察するのが好きだ。

だって、「その土地のうまいものを知りたいなら、その土地で働く人に聞け」って言うでしょう。(今考えた言葉)

働いたらうまい飯が食べたい。だからと言ってあれこれ迷えば食いっぱぐれる。

そんなみなさんが選ぶ店が、気にならないわけないじゃない。

 

そんなわけで私は、賑わっている店や待ち列がある店を、めざとくチェックするのだ。

そして、今日も収穫が。

南インド料理、ボーディセナ。

サンバルもラッサムも、何かわからないけど絶対美味しいに決まってる!

店内は満席大繁盛で、店員さんも素敵な雰囲気。

うふふ、また行きたいリストが増えた。

 

カレー欲がそそられたが、わたしが目指す場所は既に決まっている。

南インドではなく、福富町のコリアタウンに到着!

そう、今日私が頂くのは韓国料理。

....いや、韓国料理ではないか。

韓国の中華料理? ん? ありゃ?

 

首を傾げてる間にお目当ての店を発見。

南大門 ナンデムン?

 

ネットには「少し入りずらい」などと書いてあったが、すでに孤独のグルメ道を勢いよく進む私は、躊躇なく暗く細い階段も駆け上がる。

THE・韓国オモニに出迎えられたこともあるが、家庭的で安心感のある食堂だった。

 

席に着き、一応メニューをチラリと見るが、既に何日も前から注文は決まっている。

 

「チャ..ジャジャン麺ください」

「네」(はい)

 

危なかった。予習しすぎて「チャジャンミョン ハナ ジュセヨ」と口に出すところだった。ここはあくまで、日本のコリアンタウン。

 

ジャージャー麺、韓国語でチャジャンミョン。

 

中華料理ジャージャー麺から派生した麺料理である。ジャージャー麺が主に甜麺醤を使用するのに対し、チャジャンミョンではチュンジャンを用い、韓国人の好みにあわせて油気や肉が減らされている。味付けも、中華料理のジャージャー麺が塩辛い味付け、日本式のジャージャー麺が甘めでピリ辛の味付けであるのに比べると、チャジャンミョンは甘い味付けのことが多い。韓国の中華料理においては、チャンポンタンスユク(糖醋肉 / 糖水肉)と並ぶ代表的な存在となっている

ja.wikipedia.org

 

これを、もう、ずーーーっと食べてみたかった。

韓国ドラマや韓国Youtuberのモッパンを見る方なら、誰もがそう思って然るべきではないだろうか。

あの黒いたれ、モチモチしてそうな麺。

イカ墨パスタや黒ゴマ餡など、黒い食べ物に目がない私の心を、捉えて離さない気になる存在。

 

チャジャンミョンとセットでよく食べられているタンスユク(韓国式酢豚)も頼みたかったけど、単品小でも1500円なのでやめておいた。

そもそもこの店に来れたのは、日本では割高な韓国料理を、ランチ880円でいただけるからなのだ。タンスユク...いつか...タシマンナ(また会おう)

 

そういえば、アレンジばかりで、本場の炸醤麺(ジャージアンミエン)を食べたことないよなあ。盛岡じゃじゃ麺も、好きだけどね。

中華料理って懐が深いなあ...

 

オモニは薄めた緑茶(のようなもの)が入ったジョッキを私に届けるや、

常連客っぽいおじさまの向かいに座り、韓国語でおしゃべりタイム。

 

料理を待つ間、受け取った本をさっそく開く。

この本とは、図書館の展示コーナーで出会った。

区内の小中学生がイラストや文で本を紹介する、POPの展示のひとつ。

単純に本自体が面白そうだったのと、「疲れた時に読んでほしいです」と、

中学生らしい真面目な字体で書かれたPOPに妙に惹かれ、つい予約までした。

 

見知らぬ中学生 様

丁寧な文とイラストのPOP、拝見しました。

お勧めの通り、疲れが癒されるような素敵な本ですね。

本との出会いのきっかけをくださり、感謝しています。

 

...ただ、この本、句読点の位置や文の表現が絶妙に読みづらいなあ...なんて

おねえさん感じたのだけど、そんなこと、ない?...うん、ないよね。

ごめんなさい、おねえさん、やっぱり疲れてるみたい。

 

 

野暮なことは言わぬが花。

 

わっっ、きた!!!

すごい!本当に生タマネギとタンムジ(たくあん)もついてくるんだっ!

急に幼児退行するお姉さん。

厨房のアボジ自ら運んできてくれた。

その足ですぐさま、おしゃべりに加わる。

 

唯一いた日本人客もちょうど会計を済ませ、お客も日本人も私のみ。

実家感もあいまって、

韓国留学のホームステイで一人食卓になじめない、かわいそうなイルボンサラン(日本人)に見えなくもない。

 

ところがどっこい、現実は幸せいっぱいだ!

 

意外と黒くない、こげ茶の見た目。

チュンジャン(黒いお味噌)も、香りはあまり強くないのね。

タマネギにつけるこの黒いのも、チュンジャンなのかしら?

 

韓国ドラマやモッパンの真似をしたくて、箸を一本ずつ両手に持ちかき混ぜる、

では、チャルモッケスムニダ~!!(いただきます)

 

ずるずる....

 

マシッタ!!(おいしい)

ん~思ったより、優しい薄味。

角切りの豚肉と飴色のタマネギのコクは、決してこってりではなく、まろやか。

そしてこのお味噌、しょっぱくないが、甘みが強すぎるわけでもなく、すべてがちょうどよいお味だ。

 

映像で見てきたチャジャンミョンは、焼きそばのようにジャンキーな雰囲気が漂っていた。「チャパゲティ」をはじめ、インスタント麺としても親しまれているから、なおさら。

 

う〜ん、美味しい。

少なくともこのお店のチャジャンミョンなら、風邪の時にも食べられる。

例えるなら、韓国版味噌煮込みうどん(汁なし)のような。

 

さて、箸休めのタマネギも、チュンジャンらしきソースをつけていただこう。

うん、酸味のある酢味噌のようなお味で、生タマネギの辛味と合う!

 

続けて、たくあんをポリポリ。

 

あっ、待てよ、もしかして。

すぐさま麺をすする。

 

やっぱり!しょっぱいたくあんと優しいお味の麺が、ベストマッチング!

なるほど、なるほど。引き立てあっているのね。

 

その後も、韓国語飛び交う食堂で初チャジャンミョンを味わって食べた。

チャルモゴッスムニダ!(ごちそうさまでした)

 

「美味しかったです。」

会計後に勇気を出してそう伝えると、オモニはかすかに笑ったような気がした。

 

店を出て、改めてコリアンタウンをぐるっと散策する。

あら!行きたいリストに登録済みの「イタリアーノ」、ここにいたのね!

こっちには、近頃旅行先としても、外食ジャンルとしても私の中で"キテる"ベトナム

ANAN 、覚えたぞ。パインミー食べたい。

「家で作れないものを」という外食のモットーを掲げる私。

そうなるとどうしても、異国料理を優先しちゃうわよね。

 

ぽっこり膨らんだお腹を抱えて、食休みにBOOKOFFで立ち読み。

小噺で、驚いた出来事が。

ワイドコミックコーナーで、年若くやんちゃそうな男性が「あ、"たかぎ"じゃん」

と、私の愛してやまないコミックエッセイ作家、たかぎなおこさんの本を手に取った。

 

そこに、「あ~その2冊は持ってるんだよね~」と答える彼女らしき女性現る。

 

そ、そういうことね。彼女の影響か。びっくりした。

よく考えたら、たかぎなおこさんの本を読む人は「たかぎじゃん」といわないよね。

驚いた気持ちもあったが、今になってじわじわ笑えてくる。

 

その後、ドン・キホーテに立ち寄り、

ジャンクの方のチャジャンミョン、つまりチャパゲティや他のインスタントタイプを眺めるなどした。

(買おうか迷ったが、700kcal近いそのジャンク加減に恐れをなした。)

 

そして、お馴染みの業務スーパーでお買い物。

マイブームの煮豆、金時豆花茶豆の2パックをゲット。

黒みそ、売ってないかしら。

代わりに白みそを買う。

ちなみにこの時買った三鮮水餃子が、夕食となった。500g 387円かな?

つるりともちもち、美味しい!

冷凍して、たまにスープに入れて楽しもう。

 

1kgの鶏むねも買って、かなり重たくなった荷物を抱え、そろそろお家へ帰る時間。

 

今日は韓国風中華料理という、東アジアのいいとこどりを頂いた、よき日かな。

いつもと同じルーティンに見えて、少しずつ違う、この休日が楽しくてたまらない。

 

朝のみなとみらいランで消費したカロリーはすっかり摂取したけど、それがどうした!

 

좋은 주말 보내세요!

チョウンチュマルポネセヨ!

皆さんも良い休日を!

シン・朝起会

まだ眠いのに、6時前に目が覚めちゃった。

でも、二度寝なんてしない。

 

なぜって?

イカラな朝ごはんが待ってるからさ。

海外のモーニングのようで、きゅんとする食卓。

(ちなみに色味が悪いスープは、ちと塩味が強すぎた失敗作なのさ。)

 

業務スーパーの冷凍ベーグル、6個入で約400円。

ずっと前から気になっていたので、先日、残り一袋の彼らを発見し、即かごに入れた。

グリルで焼くのに丁度よいサイズで、シンプルかつ飽きないお味。

ベーグル専門店のと比べると、むぎゅっと < ふわっと だけども、70円以下で味わえるには贅沢すぎる。小ぶりに見えて、1個で充分だし。

 

“もちもち”、噛み応えをこよなく愛する私は、もちろんベーグルが大好き。

他のパンよりヘルシーという嬉しいおまけつき。

自分で作ったこともある。

 

いつか、韓国の「London Bagel Museum」に、並んででも行ってみたい。

 

話がそれたが、とにかく大満足の素敵なモーニングだった。

焼きたてのベーグルにチーズとジャム。

デンマーククリームチーズ(これも業務スーパー)、塩分控えめで滑らかな舌触り。

頂き物の手作りジャムも一緒に乗せると、とんでもなく幸せ。

何カ月もお世話になったジャムが、ついに底をついてしまった。

母の職場の方、ご馳走さまです...

最後まで何のジャムか、思い出せないままでごめんなさい。(おそらくゆず?)

 

残り5個、いろんなアレンジで食べるのが今から楽しみ!

ハムやアボカド、サーモンなんか挟んじゃったりして。うひひ。

 

朝食を終えても、出勤までまだ余裕があるので、

やろう、やろう、と思いつつ、ホックが取れかけたままのズボンに着手。

うーん、偉いじゃない。朝から裁縫箱取り出して、ちくちく縫う私。

どうせなら、と、ウエストがぶかぶかだったのでホックをつける位置を変えてみた。

 

 

あっ、表は見ないで

 

ううん、違うよ。まつり縫い、できないんじゃないよ。面倒なだけ。

どうせ服で隠れるから、いいでしょう...。

 

 

花嫁修行は、まだまだ足りないらしい。

 

話をすり替えるために、裁縫箱の中に入っていた私の思い出の作品をごらんあれ。

姉妹で大好きな「コララインとボタンの魔女」より、主人公コララインのブローチ。

その昔、うまくできたら姉にプレゼントするつもりだったが、

 

うまくできなかったのでやめておいた。

(映画同様、少し不気味さが行き過ぎたようだ。)

 

 

さあ、どうせなら余裕を持って早めに出よう。

エストがちょうどよくなったズボンをはいて、玄関へ向かう。

 

早起きって、やっぱり三文の徳だな。

ちなみに私は、早起き大得意。目覚めの良さなら胸を張ってえばれる。

「朝活」という言葉が流行っているように、充実した朝を過ごすと心身に良い。

始まりよければすべてよし。

夜はネガティブになりがちだから、朝のうちにやりたいこと、やるべきことをやっちゃえば、ハッピーかもね!

 

寝足りないのに4~5時に勝手に目が覚めるのは、やめてほしいけど。

 

 

 

幼少期の一時期、「朝起会」なる不思議なコミュニティに所属していた。

どうやら様々なご意見があるらしいので、この場で詳細は語らないけれど。

 

食いしん坊の私は、活動を頑張ったらもらえる、朝ごはんだけを楽しみにしていた。

いたって普通の、市販の袋詰めされた大量のパンを、他の子どもたちと順に選ぶ。

私の狙いはきまって、山崎製パンの「まるごとソーセージ」。

メインのソーセージの乾いた肉肉しさは苦手だったが、からしの効いたマヨソースが幼い私に大ヒット。昔からマヨラーだったのか....

第一パンのひとくちつつみのマヨも好き。でもやっぱりソーセージは嫌い。)

 

朝起会の謎はともかく、早起きなら私に任しといてほしい。

コツは、食いしん坊と、おいしい朝ご飯を用意すること、だよ。

 

 

 

 

追記:父へ。

 

「帰ってきたら?」

 

短くてもたくさんの愛にあふれたメッセージをありがとう。

そりゃあそちらには負けるけど、この1Kのアパートも、

結構居心地よくなってきたから、心配しないでね。

 

どうせまた、すぐ帰るから

むしろ呆れちゃイヤだよ。

 

そうだ、ちょうど昨日ね、

サザンオールスターズ、10年ぶりの茅ヶ崎ライブに、

(一緒に行ってみたかったなあ)って考えてた時だったんだ。

ほんと、二人だけのテレパシーあるよね、昔から。

 

小学生の時、プロフ帳渡したの覚えてる?

きっと書いてくれないだろうなあ、と思ったら

きれいな字で返ってきた。

 

「好きな歌手」の欄、やっぱりサザンだったね。

そして、やっぱり私もファンになったよ。

 

中学の時、部活をズル早退して、一緒にももクロのライブ行ったように、

また、父娘でライブデートに行こうよ。

 

 

茶色のノートで交換日記もしたね。

今でも宝物だよ。

 

この「なつにつ記」は、

一方通行かもしれないけれど、

これからも読んでくれると嬉しいな。

 

じゃあ、また。

 

 

タツロー2023 後編

何事もなかったように働いていると、昨日のことが夢物語のように思えてくる。

でも、起き抜けに「FOR YOU」の存在を確かめたから、大丈夫。

夢だけど、夢じゃなかった!

 

昨夜、21時過ぎにライブが終わり、ちょうど試合終わりのベイスターズファンに紛れて帰路につく。

余韻に浸りたいけど、なにしろ4時起きなので、疲れはピーク。お風呂に入って、濡れた髪のまま日付が変わる前に熟睡した。

 

2回目のライブは、良い意味で緊張せずに、音楽に集中できた。

前回はろくにピントも合わせられなかった双眼鏡を駆使し、達郎さんやサポートメンバーの皆さんの姿も楽しめた。

 

私には、彼の音へのこだわりを専門的に考察する知識がないので、

ただただ、一ファンとして、この場を借りて飾り気のない感想を残したい。

何度でも夢物語を思い起こせるように。

 

※セットリストに沿いたいけど、間違っているかも。

1.SPARKLE

このギターカッティングを、どれほど待ち望んでいたか!初っ端から気分は最高潮。

オープニングの定番だと知っていても、救われた気分になる。

そして、2回目にして、山下達郎の存在が現実味を帯びてくる。

古希を記念して、紫のシャツをお召しになられた彼が、あそこで歌ってる。

ライブが、はじまったんだ!!


2.雨の女王 (RAIN QUEEN)

早速知らない曲で焦ったけど、どうやらライブアルバムのみに収録されている、隠れた名曲らしい。「スプリンクラー」や「雨は手のひらにいっぱい」をはじめ、達郎さんの雨の表現がうーんと好き。


3.ドーナツ・ソング

やっぱり、君のこと好きなのさ。

かわいくて、COZYで。CMリバイバルの影響で歌われたのだとしたら、ミスドと菅田くんに感謝したい。

エンゼルクリームみたいに私の目尻はとろけてた。


4.土曜日の恋人

まさかこの曲が聞けるなんて....!「まずはじじいのやりたい曲を」と言ってたけど、こちらこそ、とんだ嬉しいサプライズ。

何かが始まりそうで、うきうき、ワクワクが止まらないメロディーとリズム。

ひょうきん族リアル世代の方、いいなあ。今度、放送ライブラリーで見よう。

 

5.SOLID SLIDER

達郎さんが、私と同い年くらいの時に作った曲だって?こんなにかっこよくてセクシーな世界観を歌える20代、信じられないよ、これが才能か。ナイフで引き裂かれるようなシャウトにしびれた。

 

6.FUTARI

イントロ、難波さんのキーボード、綺麗すぎて。

切ないのに、本当は心細いのに、サビの盛り上がりと共に「2人でいる答え」を信じざるを得ない感覚。讃美歌だ、ゴスペルだ。

レコード買って、本当に良かった。この曲が聴けるんだもん。


7.潮騒

続けてこの2曲はズルいよう。

そっと、優しく包み込む達郎さんの弾き語りは、歌詞そのもの。

「君の心は傷つきやすいから いつも僕が包んであげたい」

「寒くないかい 素足では」 

やーん、こんなにキザな言葉なのに、泣きたいくらい沁みる。


8.Groovin’ (The Young Rascals)

達郎さんの青春の一曲。

70歳、本当におめでとうございます。口癖のように「まさかこの年まで歌い続けているとは思わなかった」と貴方は言いますが、音楽の神が決して放してくれませんよ。

これからも永遠に!


9.Bella Notte

ここからは、「SEASON'S GRRETINGS」より、クリスマスメドレー。

母が昔気に入って聴いていたアルバムだ。

真夏日の9月が、途端に白銀のクリスマスに。

 

10.Have Yourself A Merry Little Christmas (Judy Garland)

心に、キャンドルのように火がともっていく。

漸く秋らしさを楽しみつつあるのに、もう冬が待ちきれなくなってしまった。


11.クリスマス・イブ

もう、心から愛してやまない!最高のイントロとコーラス。

私が山下達郎を知るきっかけとなった曲。

前回は巨大リースが降臨したけど、今回はシャンデリアのような星空。

ふと、意識が県民ホールを離れ、上品なクリスマス装飾が輝く日本大通りの一角へ。

憧れのアルテリーベの前で、店の外観とお揃いの赤いマフラーを巻いた一人の女性が、きっと来ない人を待ち続ける姿。

こんな妄想が膨らんじゃうくらい、うっとりと、引き込まれた。

 

12.メドレー

・蒼氓

クリスマスムードから一転、この曲を聴くと、原風景を思い浮かべる。

許されるのなら、会場全体で「La la la~」をコーラスしたかった。

「憧れや名誉はいらない 華やかな夢も欲しくない 生き続ける事の意味 それだけを待ち望んでいたい」

世界中からの注目や賞賛の移り変わりもそのままに、ご自身の信念で音楽と共に生きる達郎さん。

他人の目線を気にしてしまう私も、少しづつ見習えたら、いいな。

 

・私たちの望むものは (岡林信康)

今日、原曲を初めて聴き、蒼氓と合わせる意味が分かった。

"生きる"ことに対して絶えず真摯に向き合い続けたいと思わせてくれる。

 

希望という名の光

達郎さんの素敵なところは、夢を見せるばかりではなく現実に向かう勇気を与え、鼓舞してくれるところだ、と改めて実感。

 

13.ずっと一緒さ

「ずっと一緒」なんて歌うラブソング、安っぽくて嫌いだった。

そんなひねくれた私の捉え方も変える魔法。

変なプライドや余計な損得勘定は、この曲の前ではいらないね。

こんなに励ましてくれる言葉は他にないから。

 

14.メドレー
・SILENT SCREAMER

きました、ノリノリタイム!!手拍子も捗る。

今更だが、サポートメンバーの皆さんのソロも、とんでもないカッコよさ。プロの仕事。

 

・BOMBER

ファンキーなナンバーが続く。

段々と、手拍子もそこそこに、巻いた髪や体を揺らしてリズムに乗る。

あの頃、大阪のディスコで踊っていたおねえさんの魂が乗り移ったかのように。

 

15.メドレー
・LET’S DANCE BABY

一斉に立ち上がるお馴染みさん方。

前回のように立って踊りたいけど、3階席だし、後ろの方もいるのでやめておいた。クラッカーも、前の残りが紛失したから今回はお預け。

宙に舞う紙テープと火薬のにおい。

踊り続ける私。

 

・愛を描いて-Let’s Kiss the Sun-
・さよなら夏の日
・CHEER UP! THE SUMMER
・Mean Woman Blues (Roy Orbison)

上記4曲を1節ずつ。

メドレーでもいいから、いつか「ターナーの機関車」聴きたいなあ。

 

16.CIRCUS TOWN

ショーが終わりに近づいているのに、サーカスが始まった!

全く色褪せない、むしろ新しいサウンドで。

ソロデビューアルバムの一曲目が、時を超えて今も愛され続けている。

"シティーポップ"なんて言葉がリバイバルし、私と同年代、さらには下の世代が達郎さんの音楽のとりこになるわけだ。

(余談だが、ライブをきっかけにこの曲の魅力に取りつかれている。)

 

アンコール

17.Sync Of Summer

赤シャツにお色直しして、アンコールは新曲からスタート!

「お得意の妄想ソング」と自分で揶揄っていたけれど、こんな素敵な夏の風景を、妄想で曲に書き起こせるものかしら?幻影なのに、何故か懐かしい夏の日に同期させてくれる。

私も妄想力には、自信あるんだけどなあ。足元にも及ばないや。

家にTVがなくて午後の紅茶のCMをなかなか観れないので、フルでライブで聞けてとっても嬉しい。

 

18.Ride On Time

小噺で、伝説のマクセルUDカセットテープCMの裏話を聞かせてくれた。

サイパンのコウモリ料理、硫黄で顔がパンパン、などなど、散々だったそう! 

そして、待ち望んでいた生声。コロナ罹患をきっかけに始めた断酒で、より声が出るようになったそう。いやはや、納得の声量、圧巻の生声。

70歳を迎えてなお、進化し続けるその姿に脱帽です。  

 

19.恋のブギ・ウギ・トレイン

ノンストップでショーはフィナーレへと向かう。

元々アン・ルイスさんに書き下ろしたこの曲は、今ではライブの定番。

悔いなく、すべてを出し切るように、右手を挙げてBoogie Woogie !


20.YOUR EYES

ラストはやっぱり、この曲。

ああ、ライブが終わっちゃう。この時間が永遠に続けばいいのに、とつい願うけど。

達郎さんがいつものように、最後に「どうぞ皆さん、共に助け合って、励ましあって生きていきましょうね」と、語り掛けてくれるから、そんな優しい現実に戻るのも悪くないな、と思える。

 

 

いつか、この歌を結婚式で流す。そんな秘かな夢のためにも、明日からまた頑張ろう。

 

 

 

約2時間半の夢物語、これにて終演。

 

長くてつたない、自己満の備忘録にここまでお付き合いくださった方、どうもありがとうございます。

そのうえで厚かましいのは承知ですが...

ぜひ、生けるレジェンド、山下達郎の音楽に触れてみてください。