なつにつ記

過去と今を自由に飛びまわる私記/エッセイ。 レトロでファニーでちょっぴり不器用なくらし。 食いしん坊。 短編小説だと思って、お暇な時にぜひに。

ごめんね、それから、ありがとう。

フフン、フン、フン~♪

調子はずれの鼻歌を口ずさみながら、私の足取りは軽やかだ。

 

いや、本当に軽いな、足が。

おろしたての、滑らかに光る黒い靴をそっと見下ろす。

 

三連休は、元祖・安全基地、実家へと帰省していた。

 

この軽くてぺたんこで歩きやすい靴は、その時に母が買ってくれたものだ。

仕事で、ヒールの高いパンプスを無理して履く私を前から気遣ってくれていた。

この靴をはじめとして、両親は私の「行きたいな」「食べたいな」「ほしいな」という願いを3日間で数えきれないほど叶えてくれた。

 

ごめんね、それから、ありがとう。

いつだって、両親と過ごす時間はこの2つの言葉で胸がいっぱいになる。

 

その一つ一つを忘れないための備忘録。

 

1日目ーーー

父・母・娘と3人並んだ布団で目覚めた、ちょっぴり懐かしい朝。

誰にも話せず溜め込まれた近況を、あれやこれや、寝転んだまま母に話した。

ネガティブな私は、やはり愚痴や不安に話が行き着いてしまう。

 

母と話すうちに、解決法を知りながら行動に移せない自分がやるせなく、少し泣いた。

後になって母が「泣かせたみたいで申し訳なかった」とポツリと言ったが、全くの誤解だと伝えた。以前の私なら、母が共感ではなく正論で返すことを責めて泣いていただろう。代わりに自分を責めるのもよくないが、成長を感じられるいい涙だと思いたい。

 

悲しいときにはご飯を食べるに限る。母が私のために作り置いてくれた、色とりどりのおかずを食べたらすぐに元気が出た。

朝食後は出かける準備をしていたが、そろって睡魔に襲われ、13時過ぎまで長めのお昼寝をしてからの出発だった。

 

昔から家族で何度も訪れた大型ショッピングモールに行き、日用品の買い物をした。

私の分も一緒のかごに入れて、父がすべてお金を出してくれた。

母は、冒頭の靴を買ってくれて、「これで大丈夫だね」と私以上にうれしそうに笑う。

お昼はフードコートで中華。家族でフードコートに来ると、昔を思い出して幸せな気持ちになる。

 

帰路に就くかと思えば、父の粋な計らいで、私と母の大好きなリユースショップに寄ってくれた。女二人で服や靴やバッグを心ゆくまで見て選んで試着する、

その3時間もの間、父はじっと待ってくれていた。

 

2日目ーーー

この日は念願の皮膚科に行き、ずっと悩まされていた肌トラブルにようやく対処ができた。

かかりつけの皮膚科だと、帰省した時しかチャンスがない。

(発症から3カ月以上。この間ずっと悩むくらいなら最寄りの皮膚科に行くべきでは?by冷静な私)

2時間半の待ち時間。診察は2分弱。

毎度のことだけど、原因を自分から聞けない。

そして、毎度同じ内容の処方箋。

(今度から薬だけもらおう...)これも毎度懲りずに思うこと。

 

迎えに来てくれた母とランチへ。

SYOKU-YABO農園さんという、農園の中にあるオーガニックで素敵なレストラン。

木漏れ日の中、シンプルでおいしいお料理を頂く。

夜は、母とエジプト料理のターメイヤ(そら豆のコロッケ)とタヒーナ(白ゴマのソース)を作った。

旅のエッセイを書くk.m.p.さんがクックパッドにレシピを出していたため、試してみたくなったのだ。

そら豆を小松菜で代用するレシピ。勝手に大豆粉もきな粉に変更したが、香ばしくて初めて食べるお味でおいしかった。チーズのように濃厚なタヒーナをとろりとかけると、また味わいがある。

 

3日目ーーー

3人でなじみのカフェでランチ。いつ来ても、何度食べても、変わらずおいしい。

季節のキッシュは、オクラととうもろこし。

最近甘いコーヒーが飲めるようになったので、父とそろってヘーゼルナッツラテを頼んだ。おいしくて、あっという間に飲み干した。

おねだりして、カボチャプリンと洋酒のフルーツパウンドケーキも3人で食べた。

午後は、母とおかわりリユースショップ。

ぺちゃくちゃ、あーだこーだ言いながら私に似合う服を探す、なんとも楽しい時間。

 

せっかくなので、忘れないようにメモ。↓

・いわゆる骨格ストレート。上半身に厚みがあるので下半身はすっきりさせる。

〇 タイトでまっすぐなスカート 

〇 くすみカラー 

 

「電子レンジでさつまいもがうまく蒸せない」という悩みを話したら、百均の折り畳み蒸し器を買ってくれた。実際にその蒸し器で作った蒸し野菜と、びんちょうまぐろのばくだん丼の豪華な夕食を楽しんだ。

 

さらに、「この前買ってくれた着圧ソックス、とってもいいよ!ありがとう!」という話をしたら、ドンキホーテで着圧タイツや、軽くて素敵なフライパンまで買ってくれた。

 

翌朝、抱えきれないほどのお土産を両手に持った私を駅まで送ってくれて、その日会社で食べるお弁当まで持たせてくれた。

 

書いていて、してもらってばかりの自分が申し訳なく、そして恥ずかしく思えてきた。

両親に対して感謝してもしきれない。

 

ごめんね、それから、ありがとう。